さらに長期的には、「通常の医療から弾き出される人々がいる」という状況そのものを解決すべきであろう。「国民健康保険料を滞納する」という事態は、低所得・無所得の人々に対する減額や免除が拡大されれば、発生しなくなる。

 低所得の人々に対する所得税や社会保険料が、「支払ったら暮らせない」という水準であるとすれば、「通常モード」がすでに非常事態なのではないだろうか。生活保護の場合も、「福祉事務所で医療券を受け取る」という手順を見直し、医療の受け控えを減らす必要があるのではないだろうか。

人類が経験したことのない
感染症との闘いに向かう心得

 2000年代に入って、感染症との闘いは新たな局面を迎えている。1900年代、抗生物質が出現し、かつて不治の病だった病気の数々は、治せる病気となった。しかし抗生物質は、無敵の「多剤耐性菌」を生み出した。

 現在の科学界で広く共有されている認識は、「2000年以後の感染症との闘いは、これまでの人類史になかった状況の連続になる」というものだ。人智を振り絞り、国境を越えて、あらゆる立場の人々が協力して立ち向かう必要がある。

 日本には、「国民皆保険制度」という強力な盾がある。まず、この盾は死守すべきだ。誰かを対象外とすることで盾を守るのではなく、誰もを守ることによって、より強い盾にすべきであろう。

 生活保護の医療扶助を含め、誰もが生きられる日本のためにできることは、たくさんありそうだ。

(フリーランス・ライター みわよしこ)