現実味のある「片づけのお手本」には
なかなか出合えない
「子どもの成長に合わせて物が増える」「日常的に忙しく、片づける時間の余裕がない」「数年単位で暮らし方が大きく変化する」「リビング周辺に生活の機能も物も集中しがち」――。
私が整理収納のご依頼をお受けすることが多い「未就学児のいる、共働き子育て世帯」には、上記のような暮らし方の特徴があります。こういった条件が重なる暮らしは、片づけが苦手な人にとってかなりハードでしょう。
そして、片づけの悩みとイライラの原因をはっきり認識していても、それをどう見直せばよいのか、“現実的な”お手本は意外と少ないものです。
本や雑誌で出合った片づけのノウハウがたまたま自分に合っていたとしたら、それはかなりラッキーなこと。自分に合う片づけ習慣を見つけられないまま、ミニマルな生活や、インテリア色の強い収納スタイルにひかれ、まねをしては挫折するというのを繰り返してしまう方もたくさんいます。
こうした状態を卒業するために私が提案しているのが、発想の転換です。
忙しい生活の中で「しなければならないこと」を増やしてもうまくいきません。片づけの中で「しなくていいこと」や「気持ちよく諦める方法」を探すことで、負担をなくしていきましょう。
そこで今回は、忙しい共働き夫婦に知っていただきたい「片づけの諦め方」について、3つのアプローチを解説していきます。
片づけの諦め方(1)
「完璧に片づける」ことを諦める
片づけが苦手な人ほど、“部屋に何も出ていない状態”に強い憧れを持つ傾向があります。片づけのゴールが「すべてのものを仕舞って見えない状態にする」ことの場合、当然やらなければならないアクションが増えるので、負担感はかなりのものです。
一念発起すれば、散らかった部屋を片づけられないことはないものの、ゆうに1~2時間はかかり、ヘトヘトになってしまう。そして、せっかくそうやって理想の「片づいた状態」にしても、数日で元通りになってしまう。
こうしたエピソードに心当たりのある方は完璧に片づけることを諦めて、「片づけきらない片づけ」にルールを切り替えてみてはいかがでしょうか。