私自身、この落とし穴にはまったことがあります。当社の社員が候補者との面談をスカイプでやると言ったとき、「そんな面談はあり得ない。直接会ってきなさい」と指示すると、「社長、相手の方に迷惑です」と反論されました。私が人材紹介の第一線でバリバリ営業していた時代は、直接候補者に会って面談することが熱意の証しでしたが、気付かない間に人々の意識は大きく変容していたのです。

 40代のビジネスパーソンが、転職しても活躍し続けられるバリューを維持していくのなら、こうした人々の意識変容も含めた世の中の変化を取り込み、自分自身をアップデートしていく必要があります。

自分の強みを磨くことと
新しい環境への適応を両立するには

 40代のビジネスパーソンであれば、自分自身で何らかのプロフェッショナリティーを確立していることでしょう。しかし、長年経験を積み重ねた結果、事業や扱っている商品の強みと自身のプロフェッショナリティーが結びついている部分において、どんどん「職人化」している人が少なくないと思います。

 特定領域における自分の強みを磨くこと自体は悪いことではありませんが、一方でマーケットがどんどん変化を続けています。「私が一番力を発揮できるのはこのやり方だ」という“プロダクトアウト”的な発想になり過ぎると、変化するマーケットへの柔軟な対応ができなくなってしまいます。まして従来の固定観念に捉われて、頭ごなしに新しいやり方を否定するのはまずいです。

 本物のプロフェッショナルであれば、やはり変化するマーケットに合わせてチューニングを行い、パフォーマンスを最大化できなければなりません。難しいことではありますが自分のコアとなる強みを磨き続け、生かしていくことと、新しい環境に適応していくという両方の取り組みにチャレンジする必要があります。

 ただ、新しい環境への適応とは必ずしも新しいツールや手法を使いこなすことを指してはいません。たとえばウェブ会議システムが普及していくと、おそらく新規営業の常識も変わってくると思います。その波に乗っかるのも一つの選択ですが、みんながインサイドセールスに流れるからこそ、飛び込み営業や対面営業に価値が出てくる領域もあるでしょう。

 つまり、次々に現れてくる新たな潮流や情報に対する感度を高くして、先入観を持たずに理解したうえで、どのように取り入れていくのか、あるいはあえて使わないで自分は別の道に行くのか、といった戦略を考えていく必要があるわけです。