日本一の製品を持つケーブルメーカーが、キャビア生産に乗り出す成算
蘇州工場医療部の様子(写真:金子コード提供)

カテーテル用チューブで日本一
工業社会の「縁の下の力持ち」

 ケーブルは工業社会を支える縁の下の力持ちだ。金子コードは1932年創業、電話機コードの生産から業を起こし、以来、様々なケーブルをつくり続けてきた。産業ロボット、工作機、電話、通信機器など用途は多彩で、近年ではそのノウハウを活かして、医療用カテーテルのチューブを1992年から生産し始め、極細のカテーテルでは供給量が累計10万本以上と国内トップになった。

 目下業績は絶好調で、11期連続増収で7期連続過去最高の売り上げを更新し続けている。営業利益率は17%と、製造業平均の4%強をはるかに上回る。

 海外進出も早く、1993年にはシンガポールに現地法人を設立。翌94年には中国蘇州に工場を建設した。当初は日本から部品を輸出して組み立てていたが、現在では中国現地で材料を調達し、中国を中心とした海外向けに特化して製造販売している。

 国内と同品質を中国工場でも実現し、中国のメーカーにも金子コードのブランドが浸透、ロボット用ケーブルとカテーテル用チューブを中心に毎年販売が拡大している。3代目社長の金子智樹(52歳)はこう語る。

「中国の人件費が年々上がり、安くつくって売るやり方は通用しなくなりました。当社では中国市場を開拓し、倍々ゲームで伸びています。もはや中小企業の海外進出は進出先の市場を狙うべきで、当社は市場が育っていない国には進出する気はありません」

 国内売り上げで以前はケーブル類が大半を占めていたが、現在は7割がカテーテル用チューブへと逆転した。海外ではまだケーブルが7割だが、カテーテルも順調に伸びている。

 同社は電話機コードから始まり、電話端子の付いたモジュラーコードでは2000年に国内シェア80%を達成した実績を持つ。それだけ技術とノウハウを蓄積してきた。断線しにくい、ねじれにくい、燃えにくいなどの耐久性はもちろんのこと、激しい寒暖差や空気中の成分による変色など、様々な環境変化にも対応する商品をつくり上げてきた。