あなたの仕事に効くビジネス書の書評を集めた「仕事の本棚」。ビジネスリーダーが読むべき一冊を厳選してお届けします。今回は『Think CIVILITY─「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』(クリスティーン・ポラス著)です。(評者・ 阿蘇 望=情報工場エディター)

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無礼な人が多い職場は
大きな金銭的損失を生む

『Think CIVILITY─「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』
クリスティーン・ポラス著、夏目大訳
東洋経済新報社
1760円(税込)

 子どものころに、礼儀正しく、慎ましく、人を敬うように、としつけられた。おかげで身についてはいる(ときどき違っていたらごめんなさい)。だけど、それが何のためなのか、はっきり自覚しているわけではなかった。

 礼節(シビリティ)について考える、と題された本書は、なぜ私たちは礼儀正しくするべきなのか、その理由を明快に具体的に説明してくれる。多くの有名企業や政府機関で活気ある職場づくりについて講演やコンサルティングを行なっている著者は、<無礼な態度を取る人間が多いことは道徳的に良くない、と訴えるより、そういう職場はこんなに大きな金銭的損失を生むと知らせたかった>と執筆の動機を明かしている。

 無礼さが損失を引き起こす実例も多々紹介されるが、まずはどんな立ち居振る舞いが礼節にかなうかを共有したほうがいいだろう。相手の話をよく聞く、笑顔を絶やさない、感謝する気持ちを持つ、他人の良さを認める、責任を果たす、成果を分かち合う……。中でもビジネスパーソンにとって重要なのは、温かさと有能さの両立だという。

<あなたが誰かに「温かい」「有能 」という印象を与えることができれば、その人はあなたを信頼する可能性が高い。あなたを信頼してくれた人とは良好な人間関係を築くことができる。その人はあなたが何かをするときに、おそらくそれを支持し、応援してくれる>

 逆に、いつも不機嫌で、話を聞こうとせず、他人を過小評価する、成功を独り占めして、失敗は人のせいにする。そういう人間は、どれほど技術や才能が優れていたとしても出世はできない。欠点を自覚して、言動を改める努力をするべき、というのが本書の主張だ。