マカオは単一型経済の危うさを露呈

新型コロナで露呈した「中国人観光客依存」の危険、香港・マカオと台湾の明暗マカオでは29のカジノが営業再開となったが、集客を規定の半数にとどめるなど、本格稼動には至っていない

「カジノ」と「大陸客」の2つに大きく依存するマカオのインバウンドも大打撃だ。マカオでは1月21日に初の感染者を確認したが、マカオ行政長官はカジノの特性を鑑み、IR(統合型リゾート)を含むマカオの41のカジノ施設を2月5日から15日間休業させた。すでに2月20日には29のカジノが営業再開となったが、集客を既定の半数にとどめるなど本格稼働には至っていない(アメリカ国営放送VOA電子版、3月3日)。

 カジノを中心としたマカオ経済は、2002年以降、カジノライセンスの開放とともに高い経済成長を続けてきたが、「大陸客依存のカジノの町」という単一的な経済構造の基盤のもろさがこの新型コロナで露呈した。

 カジノの休業による損失は膨大な金額に上る。米ウィン・リゾート社が経営する「ウィンマカオ」では、1日当たりの損失が数百万ドルにものぼるといわれ、「15日間の損失は3億香港ドル(約41億円)を超えるだろう」と香港経済日報は報じた。また、ある金融機関のレポートでは「1月の12日間のマカオのカジノ収入は103億パタカ(約1420億円)だった」とし、「マカオ全体のカジノ施設が受けた損失は、1日あたり最低でも8億パタカ(約110億円)」と見込む。

 2018年、マカオの税収総額は1413億パタカ(約1兆9000億円)、そのうちカジノ税収は1135億パタカ(約1兆5000億円)だった。税収の8割をカジノに依存しているマカオ政府は今年、大きな痛手を受けるだろう。

新型コロナで露呈した「中国人観光客依存」の危険、香港・マカオと台湾の明暗マカオのカジノは中国人客で黒山の人だかり

 またマカオには、客室、カジノ、レストラン、バー、ショップ、エンタメ、プールを備え、数千人規模で人を集めるIRが多い。カジノそのものが多くの客と従業員によって成り立つ産業だが、公衆衛生上のリスクの弱さも問われることになった。

 筆者は1月上旬にマカオへ取材に訪れたのだが、春節休みの直前とあり、多くの中国人客がカジノに群がっていた。ディーラーと賭博客、それを取り巻く物見遊山の客、巡回するセキュリティ担当者などを含めると、人と人との距離は恐ろしく近い。世界最大のカジノシティといわれるマカオは、客の9割を中国大陸からの観光客に依存しており、湖北省からは毎年100万人が訪れるという。仮に取材が1週間遅かったら、筆者も感染のリスクを免れ得なかったかもしれない。