企業業績は昨年末から悪化
足元はリーマンショック並みか
財務省が3月2日に発表した19年10-12月期の法人企業統計では、金融・保険業を除く全産業(以下同じ)の売上高が、前年同期比6.4%減の347.8兆円と2期連続で減少。営業利益は同9.7%減の14.8兆円と3期連続で減少した。
売上高は、製造業が米中貿易摩擦の影響や自動車生産の減少、10月の大型台風による生産の混乱などを受けて前年同期比6.7%減。非製造業も消費税増税の影響を受けて同6.3%減と厳しかった。新型肺炎の影響が拡大する前の昨年終盤の段階で、日本の企業業績はすでに悪化していたといえる。
新型肺炎の影響が直撃する20年1-3月期の企業業績は、さらなる悪化が避けられないだろう。製造業では販売不振や中国工場の生産が滞った影響、非製造業では訪日外国人の減少や不要不急の外出が控えられた影響が大きくなりそうで、同期の売上高は、08年9月のリーマンショック後(08年10-12月期の全産業・売上高は前年同期比11.6%減)に匹敵する減少となる可能性がある。
見通しは暗いが明るい材料も
企業の収益力は着実に向上
法人企業統計では、企業業績の見通しが暗くなる一方で、明るい材料にも目を向けたい。19年10-12月期の全産業・営業利益は、14.9兆円(季節調整値)と依然、高い水準にある点だ(図表1参照)。
19年10-12月期の営業利益は、3期連続の減少ではあるものの、2000年から2010年までの10年間の最高水準(07年1-3月期の14.8兆円)を、若干だが上回っている。07年当時は、ドルが1ドル=120円に近く、ユーロは1ユーロ=160円に近かった。日本企業は、為替のアドバンテージを失う中で、同等以上の利益を叩き出したことになる。