新型車の発売が遅れ、さらに発売した後に生産・供給が停止する。あるいはリコールが相も変わらず続く。これではホンダのブランド力が低下するのも無理はない。

 経営の最大課題は四輪事業のテコ入れであるはずだが、最近の新車発表会を見てもメディア限定でこぢんまりとやるケースが多く、「本当に新車をアピールする気があるのか」と批判する関係者も多い。

 先述の通り、八郷ホンダ体制はこの6月で6年目に入る。歴代社長の就任期間から見て最終の段階だ。ホンダ歴代社長と違って調整型の八郷隆弘社長だが、世界の工場閉鎖を決断しながら、最大市場の中国では成長戦略も描いている。

 八郷社長は社長就任前が中国駐在だったために同市場を熟知しており、電動車強化を軸とした成長戦略を描いている。

 今でこそ、新型コロナウイルスで話題となっている中国・武漢市であるが、19年4月には新工場を完成させており、EV(電気自動車)生産設備を導入している。21年には英国工場を閉鎖するのに併せ、中国で製造したEVやHV(ハイブリッド車)を環境規制の強まる欧州に供給する計画となっている。

 八郷体制で策定したホンダ2030年ビジョンは、「2030年までに四輪車の世界販売の3分の2を電動化する。2025年ごろをめどにレベル4の自動運転の実現を目指す」というものだ。

 この計画は、中国でのスケールメリットを生かした生産・供給体制を軸としている。このため、仮に新型コロナの影響が長引いてしまうと、ホンダにとっては大きな痛手となる。湖北省に工場のある日産とともにホンダの経営陣は、新型コロナの終息を願っていることであろう。

ホンダの復活が
望まれている

 ホンダは経営効率の低さと四輪事業の立て直しが最重要課題になっている。

 本田技術研究所の実質的な本体への吸収統合に踏み切ったのは、ホンダが過去の延長線だけでは生き抜けないとの覚悟であり、新たなホンダの方向性を探るための八郷体制としての決断であろう。

 先述したように、ホンダの研究・開発は本田技術研究所の領域であり、本田宗一郎以来の“聖域”だった。そこにあえてメスを入れることで、開発から購買調達、生産・販売に至る一体化を図り、効率性、収益性の向上を図るのが狙いだ。