1万人を超えるリーダーは、「同じこと」に悩んでいた。
本連載は、1万人を超えるリーダーから寄せられた「悩み」に対し、明確な答えを提示するものだ。
書き手は、日本最高峰のビジネススクール「経営アカデミー」で19年以上の登壇実績を誇り、経営者や企業幹部を指導してきた浅井浩一氏。全国で年間100回以上の研修や講演を行い、コンサルタントとしても現場に入り込む。
「離職率を抑え、メンタルを病む人をゼロにし、なおかつ目標を達成し続ける」ために、リーダーとともに考え、行動し、悩みの解決を図る。業種・業態を問わず、職場再建率は100%。これまで指導してきたリーダーの数は1万人を超える。発売即4刷のベストセラー『1万人のリーダーが悩んでいること』の著者でもある。
【悩み】部下が「ワーク・ライフ・バランス」を盾に仕事を疎かにしています。出勤は定時の数分後。そのくせ昼休みは規定以上とる。もう数カ月続いています。
ご質問にある部下の行動は「ワーク・ライフ・バランス」の域をはるかに超えています。出勤時間や休憩時間を守らないのは、単なる就業規則違反です。
このような部下を数カ月も放置しているのはリーダーとしての怠慢であり、もしも部下の問題が大きくなったとき、「だってリーダーからは数カ月、何の注意もなかったんですよ? だからOKなのかと思っていました」なんて弁明をされでもしたら、リーダーであるあなた自身の管理責任が間違いなく問われます。
最初のアプローチは、出勤時間に遅れてきたその場で、即座に行う必要があります。ただし、「なぜ遅刻したんだ!」「仕事への意識が足りないんじゃないか!」と頭ごなしに叱っては、今のご時世では「パワハラだ」と訴えられかねません。
仮にそこまで事が大きくならなかったとしても、後々の関係にしこりを残すのは確実です。何より相手に「遅刻してはいけないんだ」ということを理解させ、行動を自ら改めさせるという本来の目的を達成することができません。
遅刻や休憩時間に関する指導は、「会社のルール」として発信されている就業規則に沿って、「この項目に違反しているでしょう」と示しながら、堂々と、そして粛々と行います。
まずは「遅れてきた理由」を尋ね、そのやりとりを書面に残します。
仮に遅刻の理由が、公共交通機関の遅れや事故、体調不良ではなく、「寝坊した」「目覚ましが鳴らなかった」「二日酔い」など本人の生活習慣によるものだった場合は、その生活習慣の乱れを直し、遅刻しないよう指導します。
万が一、指導したにもかかわらず、さほど期間を空けずにまた遅刻してきた場合は、本人に「再発防止策」を語らせ、それも書面に残します。そして「遅刻は就業規則違反である。もしも次に遅刻をしたら、上司としてではなく、会社としてしかるべき対応をとることになる」と忠告します。
部下が遅刻を重ねたら、上司として「かばい切れなくなる」ことを告げるのです。