――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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自動車販売に新型コロナウイルス感染の初期症状が出ている。多くの主要国が中国や日本・イタリアと同じ道をたどれば――その可能性は高まっているように見えるが――事態はさらに悪化する恐れがある。
新型ウイルスの感染流行は中国で始まった。同国への影響は突出して大きく、2月の国内自動車販売台数は前年同月比80%減と異常な落ち込みになった。中国はウイルス封じ込めのため、極めて厳しいいわゆる「社会的距離戦略」を講じ、世界にとっては極端な見本となっている。中国国内の感染状況に安定化の兆しが見え始めるにつれ、2月最終週の自動車販売はわずかに上向いた。
中国以外で最大の影響を受けている韓国では、2月の自動車販売が前年同月比20%減少し、月間で2009年以来の低水準に沈んだ。日本は10.7%減、イタリアは8.8%減だった。今年はうるう年で、昨年より営業日が1日多かったうえ、週末が月内に5回もあったにもかかわらず販売は低迷した。
危機はウイルス流行だけではない。自動車販売はそれ以前から世界的に減少していた。とりわけ中国ではここ2年ほど、補助金制度の変更や景気減速が主要ブランドに大きな痛手となってきた。
欧州も今年は極めて軟調だ。欧州連合(EU)が厳格化した排出ガス規制を導入し、メーカー各社は電気自動車(EV)やハイブリッド車の販売促進を強いられている。年末の期限を前に燃費の悪い大型車の販売に力を入れたため、今年に入ってからはその分、販売が抑えられた。EU最大の経済国ドイツでは、3月1日までの新型コロナ感染者数はわずか57人だったが、2月の自動車販売台数は10.8%減少した。4日時点で感染者数は196人に増えている。