内閣官房参与の浜田宏一・エール大名誉教授Photo by Toshiaki Usami

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で経済の不透明感が強まり、株式などの金融市場も乱高下が続く。9日には世界同時株安の様相になり、日経平均株価は2万円台を割り、1ドル=101円台まで円高が進み、リーマンショック級の打撃を懸念する声も出始めた。日本経済も昨年10~12月期に続き、今年1~3月期もマイナス成長が見込まれる。ニューヨーク市場ではダウの下げ幅が一時、2000億ドルを超え、一時は取引が停止された。危機の深度はどの程度なのか。マクロ政策でやれることは何なのか。アベノミクスの指南役である内閣官房参与の浜田宏一・エール大名誉教授に緊急にインタビューをした。(ダイヤモンド編集部特任編集委員 西井泰之)

金融市場に波及した“コロナショック”
専門家を結集し短期の回復目指せ

――コロナウイルス問題の影響は、生産や消費だけでなく欧米金融市場にも広がりました。9日も日本の株式市場に続いて、ニューヨーク市場でもかつてない下げ幅です。“コロナショック”をどう受け止めていますか。

 疫病が天から降ってきたとしかいいようがない不幸な状況だ。想像もしないしコントロールもできない要因で起きたのだから、被害を最小限に食い止めるためには、政府も民間も知恵を絞っていろんな手立てをしないといけない。

 経済でいえば、外出自粛や渡航規制による人の往来や消費、生産などに影響を受け、需要不足の傾向が起きる。従って金融政策で影響の激化を和らげることはできても、感染拡大の防止や治療など疫病に直接かかわるわけではないので、それぞれ限界はある。

 まずはコロナウイルス問題の打撃を最小にし、景気の落ち込みをなだからにすることだが、重要なのは、サプライチェーンの寸断や外出自粛など、コロナ問題で破壊された経済生活の基本的なところをどれだけのスピードをもって回復できるかだ。

 回復が遅くなると、後世への足かせが長く続いて将来の国民の生活や産業の活力へのマイナスの影響が及ぶ。最短時間で日本経済の健康を回復することに集中することだ。

 そのためには、感染学や医学だけでなく、休校中の子どものケアなどを支援する制度作りなどをする、経済や法律など、さまざまな専門家の力を結集する必要がある。