――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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かつて恐れられる存在だった石油輸出国機構(OPEC)は、今年60歳で持病に苦しんでおり、今は死の床についている。新型コロナウイルスの影響で石油需要が後退し、その衝撃で存在意義が低下した面もある。だがまだOPECが生き延びていることの方が奇跡だった。
原油価格が最後に底値をつけた2016年以降、石油市場を自らの意に沿わせるOPECの影響力は、主にロシアなどの非加盟産油国の協力を仰ぐ不格好な「OPECプラス」によって辛うじて維持されてきた。1970年代にさかのぼると、最初の石油ショックを引き起こしたアラブ諸国の禁輸措置が発動される直前、OPECの市場シェアは50%を超えていた。OPEC会合が重要イベントと化す一方で、原油価格が4倍に急騰したのを機に世界中で石油の探索が始まった。