「不自由」「不公平」「不安」――3つの問題をどう解消するか?

 夫婦共働きであれば、入口は2つですが、1つにまとめてしまえば、どっちのポケットから支払うか悩まなくていいからです。

 ですから、入口がどうであれ、ポケットと出口は1つにまとめましょう。

 家計のポケットを1つにする以上、生活口座も一本化します。生活口座とは、生活費など日常的に使うお金をプールするために使う銀行口座です。クレジットカードの引き落としや公共料金や家賃(住宅ローン)の支払いは、すべてここから引き落とします。夫婦どちらかの給料振込口座を生活口座扱いにすれば十分。その口座に収入と支出を可能な範囲で集約し、ガラス張りに近い状態にしておきましょう。

 ところで、ポケットが1つになった瞬間に、新たな問題が生まれます。

「不自由なのはイヤ」「不公平はイヤ」「安心がほしい」という3つの悩みです。

・不自由問題:夫婦共有にしてガラス張りにすると、友達との付き合いや大好きな趣味・嗜好(しこう)品に使うお金が自由にならなくなります。どんなに仲のいい夫婦であっても、自分一人の時間を楽しめないのは窮屈このうえない。

・不公平問題:私のほうが高収入なのに、夫婦で共有するなんて不公平では? という悩み。夫婦間の収入格差が大きい場合に、収入が多いほうに生まれる心の葛藤です。

・不安問題:ずっと夫婦仲がよければいいのですが、夫婦仲が悪くなって別居したり最悪離婚したりするときのことを考えると、自分の自由になる資産がないのは不安に感じます。日本でも3組に1組は離婚するので、決してひとごとではありません。

 ポケット1つのほうが家計をやりくりしやすいと気付いていても、なかなか踏み切れないのは、この3つの悩みをクリアにすることができないからです。でもご安心ください。ポケットは1つでも、本書で紹介していく内容で、すべての問題が解決されます。