多くの製薬会社が新型コロナウイルス感染症のワクチンや治療薬の開発に奔走している。
効果が期待される複数の治療薬やワクチンの臨床試験が既に始まり、さらなる試験の準備も進んでいる。他の病気の治療用に承認された薬や開発が中止されたものでも、研究所で有効性が評価されれば、追加の試験が行われる可能性もある。
バイオテクノロジーイノベーション協会の会長でオービッド・セラピューティクスの最高経営責任者(CEO)を務めるジェレミー・レビン博士は、「業界が行動に移っている」と語る。
だが開発プロセスには時間が掛かりそうだ。国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は、ワクチンの安全性と有効性の確認には少なくとも1年から1年半はかかると述べている。業界関係者も、有効性が示唆されるまでに何カ月もかかるとの見方で一致している。その上、治療薬の開発過程では、大半が上市に至らず失敗に終わる。
未知との闘い
現時点で、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の治療・予防向けに承認された薬やワクチンは存在しない。中国の科学者が1月に遺伝子配列を公表したことを受け、産業界と学界の研究者は創薬開発を加速させた。
世界保健機関(WHO)によると、企業や研究者は少なくとも35種類のワクチン候補を開発中だ。さらに、レビン博士によれば、ライフサイエンス企業40社以上が医薬品や診断機器、ワクチンなどウイルス関連プロジェクトに取り組んでいる。WHOによると、世界で400件近くの新型コロナ関連の臨床試験が進行中だ。