売れ行きの悪かった商品が
大ヒット商品に化けた

 続いては、ポッカサッポロフード&ビバレッジの「じっくりコトコト こんがりパンシリーズ」。2019年現在、カップスープ売り上げナンバー1を誇る同社のパン入りのカップスープにも、失敗と偶然の歴史があった。

 じっくりコトコトこんがりパンシリーズが登場した2002年は、カップスープの黎明期だった。

「当時、ちまたではスープ専門店がオープンし、食事としても楽しめるボリューム感のあるスープの存在が浸透し始めていた時代でした。しかし、朝の汁物としてのニーズが確立していたインスタントスープ市場は伸び悩んでいたんです」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ経営戦略コミュニケーショングループ・杉浦邦和氏)

 インスタントスープ市場を活性化するために、ポッカサッポロ(現・ポッカサッポロフード&ビバレッジ)は、当時人気を博していたスープ専門店にヒントを得てボリューム感があるスープの開発をスタートしたという。

人工クラゲ開発がカニカマに化けた!失敗から生まれたヒット商品列伝松浦氏も「味覚的にも、サラダの味をジャマしておいしくなかった記憶が…」と苦笑する「こげぱんクルトン」。切ない

「食べごたえを楽しむスープの第1弾として『パスタ入りスープ』を開発しましたが、すでに競合他社のパスタ具材が人気を博していました。我々はパスタに代わる具材を発見しないかぎり、カップスープでは生き残れないと感じ、より革新的なスープの具材を探すことになりました」(同)

 さまざまな具材をスープに入れては試す日々。そんななか、偶然杉浦氏の目に留まったのが、売れ行きが芳しくなかった2002年発売の「こげぱんクルトン」だったという。

「クルトンとは、焼いたり揚げたりしたパンを細かく刻んだ食品です。今ではサラダのトッピングとして定着していますが、当時はあまり一般的ではなく、クルトン市場自体が小さかった。しかもクルトンの焼きを強くした『こげぱんクルトン』は、味の主張が強くニッチな商品だったため、残念ながら売り上げが伸びませんでしたね」(同)

 失敗作と思われていた「こげぱんクルトン」だったが、試作品のカップスープに入れて食べてみると「さまざまな発見があった」と松浦氏は振り返る。