テドロス事務局長
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新型コロナウイルスの対応を巡り、WHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム事務局長への批判の声が高まっている。中国をあからさまに擁護するような発言や、テドロス氏の出身国であるエチオピアと中国との親密な関係などから、テドロス氏を中国の傀儡(かいらい)と批判する声も上がる。今年3月にようやく「パンデミック(世界的な大流行)」の可能性を認めた背景には何があったのか。(国際政治評論家・翻訳家 白川 司)

3月11日の会見は
「パンデミック宣言」ではない

 3月11日、新型コロナウイルスについて、WHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム事務局長の会見を受けて、多くのメディアが「パンデミック宣言をした」「パンデミックを認めた」などと報じた。

 だが、テドロス事務局長が会見の述べた言葉をよく見ると、これが「パンデミック宣言」と呼べるものではないことは明らかである。

 テドロス会見について、私の知る限り最も正確に伝えていたのは「日本経済新聞」(電子版)である。「パンデミック宣言」という言葉を使わずに、次のように伝えている。