なぜトップの意思決定に従うのか
私は、自分がよく知っている領域で、かつ自分がその意思決定に深くかかわっている場合以外は、多少「おや?」とか「なぜ?」と思うことがあっても、責任者(トップ)の意思決定を受け入れ、その通りに行動するのがいいことだと考えている。
理由は以下の通り。
(1)個人の持っている情報はきわめて断片的であり、自分の持つ情報だけでは意思決定はもちろん、事象の把握すら難しいと考えているから。
(2)問題に対処するためのさまざまな対応策については、まず個別の絶対押さえるべき基本的な対策というものを知らない上に、それに加えて非常に多くの代替案の中から、それらの組み合わせをあれこれ考えた上で、最適解(または満足できる解)を考えるだけの知識、技能、情報を有していないから。
(3)(2)によって組み上げられた統合的な対策案について、その効果がどれほどのものかを判断するにあたっての確率統計手法や、損益を計算するための知識、技能、情報を有していないから。
(4)(3)によって行われた期待値計算をもとにした代替案評価において、何を評価基準にすべきか、およびその優先順位の設定についての必要な情報を持ち合わせていないから。
(5)(特に非常時においては)最終的にトップの意思決定をもとに、その構成員が全体整合的に行動することのほうが、個人が個別の判断によって最適と考えられる行動をとることよりも、全体的には効果を生むことが多いと経験的に考えているから。
以上により、トップの下した意思決定はたとえ自分の居場所から見た際には「??」というふうにしか見えなかったとしても、その要請に従うのがよいだろうと思って従っている。