意思決定プロセスが満たすべき条件
とはいえ、このことは裏を返せば、意思決定のプロセスにおいて以下のようなことを満たしておいてほしいということでもある。
1.関係しているさまざまな立場の人の多様な情報が、できるだけ事実をもとに、正しく多方面から集約され、現在起こっている事象についての多角的な分析と推測が実施されること。
2.数限りない個別の対応策が、特定の基軸のもとに組み合わされた上で、整合的な一連の対応策としてまとめられること。
3.2の対応策についての期待値が多面的な角度からできるだけ定量的に計算されていること。
4.意思決定の基準が、慎重に検討され、必要な利害関係者にとって最低限満足できるものになっていること。
5.実行を前に、責任者から利害関係者にしっかりとした説明がなされ、その意思決定が全体に目配りの利いたものであり、実行可能性も高い、期待効果の高いものであると納得感をもって受け止められるものであること。
6.実行段階において、個々のレベルで具体的に何をなすべきか、大枠の方針が提示されること。
こうしたことを要望しているということでもある。
さらには、
・失敗の隠蔽(いんぺい)や忖度により正しい情報が伝わらないといった問題行動が少ないこと。
・指数関数的な組み合わせの爆発にもめげずに、しっかりとした代替案を組み上げることのできる専門性と編集力が発揮されること。
・できる限り定量的、科学的に推計が行われること。
・実行可能性について、実務面から見ても可能であるという見通しが立っていること。
・上記のような業務が、信頼できるベスト&ブライテストの優秀なメンバーによって実施されていること。
・意思決定の基準については、独善的にならぬように多方面からの検討が行われ、その抽出と優先順位が慎重かつ妥当に定められていること。
・責任者による最終的な意思決定が私心なく行われていること(最後に「エイヤ!」になるのは仕方がない)。
・責任者の発表に、一部の不明点や不満はあっても、この人の言うことならば従ってみようと思えるような、過去の実績からくる安心感や清廉な人柄、または胆力や勘の良さなどに基づく説得力があること。
・個々のレベルの具体的な行動の方針が実行可能なものとして受け止められること。
といったことも必要である。