出入国制限で
塾通いがブーム

 バンコクの日系学習塾で英語を教える赤羽俊子さんは3月18日から勤務先が臨時休校となったことで、当面の休暇を命じられた。教えたコマ数だけ報酬を受け取る歩合制の給与。春期講習があってまとまった収入が期待できただけに大きな痛手だ。

 それだけではない。春期講習後の3月下旬から日本に一時帰国を予定していたが、予約していた大手格安航空会社(LCC)が当面の運航を停止したため、それもできなくなった。

 ならば、友達とシンガポールに旅行に行こうとも考えたが、同国は早々と外国人の入国を制限した。どこにも行くあてがないと途方に暮れている。

 日系企業の駐在員の子供ら約2500人の生徒・児童が通うタイの日本人学校(泰日協会学校)は、3月上旬に早々と卒業式と修了式を終え、4月後半までの長い春休みに入った。

 例年なら1カ月強の休みを利用して日本への一時帰国や近隣国へ家族で旅行するのだが、いったん海外に出てタイに再入国すると14日間の移動制限が課され、レジャーのための外出や登校すらできないことから、今年は多くの人たちがタイに残って新学期のスタートを待つことになった。

 これに困っているのが、日中の留守を預かる母親たちだ。子供が一日中家にいて親子ともども時間を持て余すようになると、今度は空前の通塾ブームが発生。バンコク都内に20近くある大小学習塾はどこも軒並み定員いっぱいになるなど空前の盛況に沸いた。

 慢性的な交通渋滞に加え公園も少なく、治安も心配なことから子供を外で遊ばせることはできない。苦肉の策にたどり着いたのが右へ倣えの塾通いだった。

 そこに降って湧いたタイ政府による人が集まる施設への事実上の一斉閉鎖通告。学習塾の中には講習の一部日程を4月以降に延期するなどの対策を講じるところもあるが、突然の決定に大半のところでは明確な対応を打ち出せないでいる。

 それもそのはず。毎年4月のソンクランの時期は、休暇を日本への一時帰国や海外旅行に充てようと講師陣が一斉にタイを離れるためスケジュール確保が難しい。もしもこのまま休校となって講習費用の返還に応じれば、たちまちのうちに経営が立ちゆかなくなる可能性がある。

定期人事を
凍結する企業も

 製造業を中心に6000社以上がひしめく日系企業への影響も深刻だ。日本とタイを行き来する営業マンであれば、工業化が進むシンガポールやインド、ベトナムなどへの出張も頻繁だ。

 ところが、いずれの国々でも日本人を含む外国人の受け入れを制限するようになり、早くも業務に滞りが出始めている。