たとえこれが2001年9月11日の米同時多発テロを小さく見せるほどの危機だとしても、米航空業界を救済するのは納税者が承服できかねる話だ。だが、より収益性の高い欧州市場を夢見る財務状態の良い航空会社にとっても憂鬱(ゆううつ)なことだ。国際航空運送協会(IATA)は17日、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)のパンデミック(世界的大流行)を受けて各国が国境を閉じて渡航者を締め出す中、世界の航空会社が大量に倒産しないためには2000億ドル(約21兆8000億円)が必要になると述べた。ドナルド・トランプ米大統領は16日、米国は「航空会社を強力に支援していく」とツイート。これは航空業界が融資保証や助成金、税控除などの形で500億ドルの支援を要請した直後だった。この金額は同時多発テロの直後に同業界が受けた支援の実に3倍だ。欧州とオーストラリアでは、ナショナル・キャリアを破綻させない措置を講じると政府が明言した。