中国の新型コロナ失策で、習近平政権が強化されるかもしれない理由
武漢市への初動対応の遅れが指摘されるものの、習近平政権の対応は過去のSARS騒動時と比べれば、ずっと良かったといわれる(写真は上海で) Photo:Yifan Ding/gettyimages

武漢市で指摘される初動の遅れ
指摘される「4つの原因」

 中国全土で猛威を振るう新型コロナウイルス肺炎は、1月から2月にかけて感染者数が爆発的に拡大した。今は感染者の増加ペースは鈍化しているが、中国国民の生活はまだ正常に戻っていない。

 そもそも新型コロナウイルス肺炎は、昨年末に感染者がいたという情報があったものの、それは隠蔽され、さほど大したものではないだろうという認識の人が多かった。だが、その予想に反して感染者数が拡大を続けると、震源地となった武漢市政府の初動の遅れに人々の批判が集まり、1月30日には武漢市の共産党委員会書記が初期対応の遅れを公に認める結果となった。

 習近平は、中国共産党総書記に就任して以降、党内改革を断行し、腐敗した幹部、不作為の幹部を次々と処罰した。昨年10月には第19期四中全会を開いて、中国共産党の国家ガバナンス体系・能力の現代化についての決定がなされた。今回の新型肺炎騒動は中国共産党の国家ガバナンスにとって、間違いなく「試練」であったといえる。

今回の新型肺炎騒動でよく比べられるのが、17年前に大流行したSARS騒動時の中国政府の対応だ。当時も、中国政府の情報隠蔽もあって対策が遅れ、6月くらいに終息した。今回の新型肺炎騒動も初動の遅れがあって、有効な対策がすぐに打てず、後手後手の対応となった。

 なぜ、初動の対応が遅れたのか。四つの原因が考えられる。

 1つ目の原因は、武漢市の政治日程を重視したことである。1月半ばに武漢市の「両会」(人民代表大会・政治協商会議)が開かれ、今年の経済・社会発展の目標が示された。会議開催時には感染者が出ていたが、重要会議が優先されて新型肺炎対策が後回しになった。また、会議でも新型肺炎については話し合われた形跡はなかった。