■(株)冨士見荘(愛知県蒲郡市) 
~旅館経営~

 2月14日に事業停止し、事後処理を弁護士に一任、自己破産申請の準備に入った。1956年(昭和31年)2月設立の旅館経営業者。60年以上の業歴で、2005年12月期には年間の売上高約5億円を計上していた。しかし、その後は業況悪化により、2013年には決済難となるなど資金繰りの厳しさが表面化していた。近年は中国人ツアー客の受け入れで業況改善を図っていたが、新型コロナウイルスの影響で予約がキャンセル、事業継続が困難となった。

 負債は約7億円とみられるが、流動的。
 
■(有)田村屋旅館(福島県猪苗代町) 
~明治19年創業・旅館経営~ 

 3月6日に福島地裁会津若松支部へ民事再生法の適用を申請した。1886年(明治19年)3月創業、1964年(昭和39年)4月に法人改組した老舗旅館。鉄筋コンクリート4階建、客室40室、宿泊人員250人と沼尻温泉内では最大規模を誇っていた。また1985年から1992年にかけて旅館建物をリニューアルし、国内の利用客に加えて年間5000人ほどの外国人利用客があった。
 
 しかし2011年3月に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響により、震災前まで利用が多かった学生や外国人観光客が激減し、売上高は震災前の半分以下にまで減少していた。そのためインターネットエージェントの利用や日帰り入浴客のリピート利用の増加に取り組んだが、客足は回復せず、最新期となる2019年6月期の年間売上高はピーク時の約3分の1まで減少。過年度の旅館リニューアル資金に対する返済にも苦慮していた。

 さらに今冬は暖冬の影響でスキー客の利用も減っていたところ、新型コロナウイルス感染拡大による宿泊客のキャンセルが発生し、事業の継続と現状の借入返済を並行して行えないと判断し、同措置となった。

 申請時点の負債は、再生債権者31人に対して約4億2000万円。

 2002年にはSARS(重症急性呼吸器症候群)が中国で発生し、翌2003年に世界的に流行したが、当時の日本国内の倒産動向を振り返ると、その影響を受けて2003年には国内旅行事業者(旅行代理店)が50件倒産(法的整理)。同事業者における過去最多の年間倒産件数を記録した。その件数は、現在まで更新されていない。

 今回の新型コロナは、地域、業種、規模などを問わず、数多くの企業に影響を及ぼすことが予想されるが、SARSの経緯からも、そして現時点の動向結果からも、まず初めに大きな影響を受けるのは、旅行事業者などの観光関連事業者といえるだろう。