無料で始まった「ワニ」
マネタイズの困難さ

 まず、最初のポイントは、商標登録のタイミングである。

「ワニ」の連載がTwitter上に無料で開始されたのは昨年12月12日。筆者は1月に入ってその存在を知り、当時考えたのは「今後、どうやって課金するのだろう?」ということだ。

「フリーミアム」というマーケティング用語がある。これは基本的なサービスや商品は無料で提供、ただし高度や特別な機能、コンテンツには、課金が発生するシステムだ。たとえば、無料オンラインゲームで強いアイテムには課金するといったケースや、Googleの検索とGmailは無料だが広告も掲載されるというようなビジネスモデルだ。マンガ本でも、最初の数ページ、もしくは数巻は無料公開、その後に課金するというパターンが存在する。

 このフリーミアムのセオリーで考えれば、当初20回程度までは無料掲載、その後は有料の課金掲載というような手段が考えられた。ただし、「ワニ」のケースでは、最初から商業展開について何も説明していなかった。それまでは無料だったものが最後のオチ部分だけが有料コンテンツになれば、炎上すること間違いなしで、得策ではないとも感じていた。

 その1つの解が、作者のTwitterで2月5日に、LINEスタンプを発売すると発表したことだった。yuuki kikuchi名義であり、同氏はすでにそれまでにも28点のコンテンツを販売していた。

 その時点では、作者はこのスタンプの売り上げで回収するだけだと思っていた。

 しかし一連の炎上後にわかったのは、1月16日に商標登録を出願(「100日後に死ぬワニ」の文字商標、商願2020-4507)していたこと。出願は、グッズ販売を行うベイシカと作者の共同名義になっている。

 もし、電通案件であれば、LINEスタンプのクレジットが作者だけの名義であることと、連載開始前から商標登録を出願していないのは不可思議だ。商標登録のタイミングを考えると、グッズ販売は連載の途中から、構想が練られたと推察される。しかし、もし関係のない第三者が勝手に登録してしまうと、手続きは面倒になる。大手代理店であれば、企画の段階で真っ先に出願するはずだ。