電通案件とは考えにくい
いくつかの「証拠」

 次のポイントは、「テレビ放送」が発表されなかった点だ。

 通常、メディアミックスの場合、広告代理店や映画・テレビ会社、書籍版元の幹事会社などは、「製作委員会」方式を採用してスクラムを組む。

 これはリスク回避のための方法論であり、餅は餅屋、つまり専門性を持つそれぞれのメディア分野ごとに企業が協力してビジネス展開を行い、シナジー(相乗)効果を最大限に発揮するものだ。

 映画やアニメなどの映像作品では、制作にかかる期間や人数も膨大になり、資本投入の金額も高額で失敗が許されない。映画のエンドクレジットを見れば、役者や声優以外にも関わった人の役割と名前がスクロール表示され、その人数が途方もなく多いことがわかるであろう。

 こうした巨大プロジェクトを運営するために、複数の企業体が出資し合い、最終の精算時では出資比率に応じた利益を分配する。ところが「ワニ」の発表時には、なぜかテレビ番組がなかったのだ。そこに、とても違和感を覚えた。

 原作の作者がいて、マンガの出版があり、テレビでアニメやぬいぐるみ番組の放送と同時期にグッズ販売が行われ、そして最後に映画公開というのが、メディアミックスの王道の流れだ。

 今回は先にグッズ販売が行われ、次にマンガ出版の販売日を告知、そして映画の公開が決まったことが発表された。映画があるのに、テレビという重要コンテンツが中抜きされている。こんなメディアミックスは通常では考えにくい。この点1つ取ってみても、筆者は電通案件ではないと考える。