一般の広告代理店は課題解決のプロだが、ぼくらが立ち上げたGOは事業成長のパートナーになる。立ち位置が、目指す場所がそもそも違う。

 作るのはCMだけじゃない。その事業を進めるのに最適な組織を作ったり、事業展開のアイデアを出したり、会社の名前や人事制度を考えたりもする。

 なぜそこまでするのか? 彼らは社会の変化を察知して「変わりたい。変わらなければ」という想いを胸に、ぼくらGOの門を叩いてくれるからだ。

 ぼくらは全力でそれに応えたい。「いいから行けよ」といういつもの口癖を、500万倍くらい丁寧に、大声で叫び続けたい。

 GOのクライアントに対するスタンスと、ぼくが『人脈なんてクソだ。変化の時代の生存戦略』を通して皆さんに伝えたいことの根っこは、だいたい同じだ。変化の本質を把握し、凝り固まった旧来の発想にとらわれず、躊躇なく自分を変える。そのための知識と心構えと、ちょっとした工夫を書いた。

 昨日決まったビジネスのルールが、今日はがらっと変わっている。何十年も盤石だった大企業が、ついこのあいだ起業したスタートアップにコテンパンにやられる。そんな激動の(でもクソ面白い)時代に生き残るのは、簡単なことではない。

 だけど、もう一度言っておこう。

 生き残るのは強い者ではなく、変化し続けた者だ。

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「試合後に語れる試合」がいい試合

 今の時代、プロダクト(製品)は、コミュニティのようにつくったほうがいい。

 たとえば、iPhoneなどのApple製品は、それを好きな人たち同士が集まり、会話が生まれ、コミュニティが形成される。製品に不具合があったり、クソ面倒な仕様になっていても、むしろ会話の弾むネタになる。出来の悪い子をかわいがるように。
そしてApple製品のデザインにはAppleの、ひいてはスティーブ・ジョブズの思想や趣味や美意識が詰まっている。だから皆こぞって語りたくなる。

 プロレスでいい試合がどんな試合か、知っているだろうか? 派手なフィニッシュで決着がついた試合でもなければ、長引いてめちゃめちゃ盛り上がった試合でもない。いや、どっちもそれはそれでいいのだけど、正解は「試合後にファン同士でめっちゃ語れる試合」。詳しくない方はピンと来ないと思うけど、橋本真也が小川直也を失神した試合とか、武藤敬司と髙田延彦のイデオロギー闘争を表現した試合とかがそれにあたる。

 試合後に語れる試合は、人々の記憶、もっといえば「心」を奪う。「心」を奪うような仕組みが、このプロダクトのどこにあるんだっけ? ということを、プロダクトを送り出す側はもっと話し合ったほうがいい。それは「すごいデザイン」かもしれないし、「独特の購入プロセス」かもしれない。

 精神を奪うこと、そして語れる要素を作ること。それがコミュニティに発展する。
たとえば、「オールバーズ(Allbirds)という天然素材のスニーカー。シリコンバレーでめちゃくちゃ売れている。どのモデルも手頃な価格。ぼくの履いているモデルはユーカリパルプで作ってあって、ものすごく履き心地がいい。

 天然素材で作ってあるので環境にやさしく、生産時に必要なエネルギーは普通の靴の60%、紙箱パッケージも使用資源を極力抑えたエコ仕様。つまり、環境にいいものが好きな人、あるいは環境にいいということを語りたいセレブや起業家といった、情報発信力のあるコミュニティの人に買われることが想定されているのだ。