資金繰り対策として最も強力なのは、納税猶予だ。

 すでに欧米諸国では、大規模な税支払い猶予を認める決定が次々にされている。

 3月18日、米財務省は、すべての個人納税者は100万ドルまで、企業は1000万ドルまでの税を、7月まで納税延期できると発表した。

 手続きは確定申告するだけだ。この政策によって、総額3000億ドル(約33兆円)の流動性が確保される。

 イギリス政府は、3月20日、300億ポンド(約4兆円:イギリスGDPの1.5%)の付加価値税の納税を2021年3月まで延期できる措置を決めた(National Post)。

 事業者は、これだけの額を手元に置けるので、緊急融資が行なわれたのと同じことになる。

 EU委員会も、加盟国が納税猶予などの措置をとることを許可した。こうした措置は、国家による援助だとして、これまでEUのルールで禁止されていたのだ。

 3月17日に、1社当たり50万ユーロまでの猶予を認めるとし、20日、猶予額の上限を80万ユーロ(約9500万円)に引き上げた。

 スウェーデンは、275億ユーロ(約3.2兆円)の納税猶予を決定した。これは、同国GDPの6%になる(Financial Times)。

 ドイツは、数十億ユーロの延納策を検討中だ。

 この他、アメリカのオクラホマ市、カナダのトロント市が納税猶予を決めた。

 ところが、不思議なことに、日本では、欧米でこうした巨額の納税延期措置が決定されつつあることが報道されていない。

 なぜこうした政策が必要なのかが、よく理解されていないのではないだろうか?

日本では結果的に政府が連鎖倒産を
後押ししていることになる

 日本では上述のような異例かつ大規模な納税延期措置はとられていない。

 前回本コラム(2020年3月19日)「対コロナ経済対策、最優先で実行すべきは『無条件の納税猶予』だ」で説明したように、延納が認められるのは、コロナによって受けた損害の範囲だ。

 そして、高率の延滞税を課されたり、担保を要求されたりすることもあり得る。

 これではまったく不十分だ。