人生、何がおこるかわかりません。順調にいくこともあれば、逆風にさらされることもあります。経済状況が混とんしている今、お金こそが命綱です。そんな大切な命綱ですが、あなたと伴侶の二人を支えるだけの強度はありますか。なにかのための備えは日頃からきちんとやっていく必要があります。急に慌てても間に合わないので、元気な今のうちから少しずつ準備を始めていきましょう。
そこで、ご夫婦や子ども向けにお金の教育活動をしているお金のソムリエ協会会長による新刊『夫婦1年目のお金の教科書 夫婦生活はお金の相性で決まる!』から、夫婦1年目がよくモメるテーマから生まれた疑問を基に、新婚さんはもちろん、結婚を控えているカップルから熟年夫婦に至るまで、お金が増えて貯まる最高の家計術を42項目にわたって紹介していきます。

【ひと月の住宅費いくらが妥当?】裕福になる秘訣は住宅費にあり!Photo: Adobe Stock

夫婦合計収入の2割を
目安にしよう

 住宅費についてはよく、収入の2割とか3割という数字を耳にします。また、住宅ローンを借りる際に年収に占める返済額の割合(返済比率)が35%以下であれば、融資基準の一つはクリアできます。マイホームを買う場合、誰だって環境と利便性に優れた広めの家に住みたいので、目いっぱい借りたいものです。

 高度成長期のように給料が右肩上がりで、不動産価格も右肩上がりの時代であれば、特に問題はありませんでした。

 しかし、1990年代からは、あらゆるトレンドが大きく変わりました。給料が右肩上がりの時代であれば、借りた時点での返済比率が35%でも10年後には25%くらいまで下がったかもしれません。しかし、今の時代は必ずしも昇給するとは限らず、年収の35%を住宅ローンの返済に充てるのはとても危険です。

 そもそも銀行が、返済比率35%を超える融資をしない裏には理由があります。それは過去のビッグデータから、返済比率35%を超える家計では、いずれローンの返済が滞ることがわかっているからです。毎月の収入から返済できない場合、通常は預貯金を取り崩して返済に充てるのですが、年収の35%をローン返済に充てている家計では、そもそも預貯金を積み立てる余裕がありません。

 そのため、この35%という返済比率自体が、今の時代においては狂気の沙汰だと、某住宅ローン保証会社の役員が言っていました。住宅ローンが延滞した際に回収するのが保証会社の役目なので、35%がいかに大変な水準であるかを、彼らは骨身にしみて知っています。