コンゴ民主共和国は、エボラウイルス病の最初の流行地で、1976年以来、8回の流行が報告されている。地理的には全国にわたっており、今でもどの地域からでも起きてもおかしくないといわれている。2018年、このエボラがコンゴ民主共和国を2回襲った。

 2018年5月7日、いつも通りコンゴ民主共和国保健省に行くと、何か様子が変だった。どうやら、エボラの疑いのある患者が出たようだ。5月8日にウイルス病流行が宣言され、エボラ対策のための(1)疫学サーベイランス、(2)検査・研究、(3)コミュニケーション、(4)臨床サービス、(5)社会心理学、(6)ロジスティック、(7)水・衛生という7つの委員会が設置された。

 保健省を中心として、国連機関であるWHO、UNICEFやエボラ対策では経験豊富な国境なき医師団、JICAも含めた各国の援助機関が協力して、エボラ対策にまい進することになった。赤道州からの他州、他国への流行拡大は防ぐことができ、患者数55人、死亡者29人と犠牲者は最小限に食い止められ、7月25日には、テドロス世界保健機関事務局長を迎えての終結宣言を行うことができた。

 この時点では、翌週の8月1日に、東部の北キブ州で再びエボラ流行について宣言することになるとは誰も思っていなかったに違いない。

恐れていた都会での流行が始まった

 北キブ州のムバラコ市での症例が増えていくが、赤道州と同じような対策を取ることにより、同市での症例数は減少傾向となった。このまま赤道州と同じような傾向になるのではと予想していたところ、9月からはムバラコから50km離れた幹線道路沿いの人口20万人のベニ市での症例が増え、10月にはさらに症例が増加し始める。11月になると、さらに南部の大商業都市・ブテンボ市で症例が増加し始めた。恐れていた都会での流行が始まった。

 こののち、この地域でのエボラは拡大を続けた。2019年7月に北キブ州の首都・ゴマ市での症例が発見された。人口100万を超えるこの地域の最大の都市であり、隣国のルワンダに陸路で簡単に行き来できる。