本当に「ゲーム感覚」で働く
もう1つ、「ピザの配達」についても述べておこう。
ピザの配達は、僕の地元の赤羽でやっていたので、最短でピザを届けることをゲーム感覚でやっていた。
普通だと1時間の平均で3件を回るところ、僕は平均6件で回ることができた。
とはいえ、人の2倍を働いたからといって、給料が2倍になるわけではない。
だから、1時間のうち30分は友達の家に寄ってゲームをしてから戻るということをしていた。
最小の努力、最短で結果を出すことを、当時から徹底していた。
先ほどは「世の中はチョロい」という話をしたが、人間なんて一皮むいたらそんなもんだ。ろくなもんじゃない。
ピザ屋のときはみんな勝手に商品のジュースを飲んでいたし、僕の友達は配達するバイクのガソリンを盗んだりしていた。
高校生なんて、いかに時給以上の得をするかしか考えない。
底辺バイトをやっておこう
バイトをしないまま新卒で企業に就職してしまうと、社会の部分を見ないまま終わってしまう。
世の中の大半の仕事は、高校生レベルでもできることが多いのにだ。
ホワイトカラーの仕事だって、高校生の学力でできる仕事ばかりなはずだ。
一度、自分の仕事について考えてみてほしい。
「これ、高校生でもできるんじゃない?」
そう自問自答してみよう。
同じ仕事でも、高卒か大卒かで給料が異なる。大卒で偉そうにやっている仕事でも、高校生にマニュアルを渡せばできることも多い。
机に座って簡単な事務仕事をしているだけなら、おそらく高校生にだってできる。
そうであるならば、この先、不景気が続いたら、真っ先に切られる仕事であることを覚悟するべきだ。
それに気づいているなら、「もっとレベルの高いことをやろう」と焦ったほうがいい。
もしくは、自分の今のポジションを守ることに全力になるべきかもしれない。
高校生が集まって回ってしまうような職場は、本当にクソ野郎ばっかりだった。
ただ、世の中の底辺レベルが見られてよかった。
これがもし、大卒の会社員として彼らを管理する立場から接点を持ったとしても意味がない。上司がいる前では、彼らはマジメにがんばっているフリをするからだ。
どうやって手を抜いて、どんなズルをしているかは、同じ立場で話してはくれない。
「こいつらダメだな」という状況をリアルに味わえるのは、たぶん学生時代だけだ。
この経験は、社会人になってしまうと体験しにくい。
僕の今の年齢で突然コンビニのバイトをはじめたとしても、高校生は仲間だと思ってくれないだろう。
僕は未知な部分をなくすことに喜びを感じる好奇心があるので、クソ仕事をやってよかったと心から思える。まあ、それが一生続くと地獄ではあるのだが。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。新刊『1%の努力』(ダイヤモンド社)を刊行。
主な著書に、『無敵の思考』『働き方 完全無双』(大和書房)、『論破力』(朝日新書)などがある。