仕事は最高のシミュレーションゲーム! 年齢を言い訳にしない! 自分が不満を感じたとき取りうる選択肢は常に3つ!など金言のオンパレード! 元マクドナルドのCMOで、現在は「ポケモンGO」などの展開で知られるナイアンティックのシニアディレクターを務める、マーケティング(を含む経営再建)のプロ中のプロ、足立光さんが大切にしている7つの価値観について、前回ご紹介した1「Be Different」2「Never Give-Up」につづいて、3~7をご紹介していきます(本内容は、「〇〇マーケティング」という流行に左右されずにマーケティングの本質を理解するためのオンラインサロン『マーケリアルサロン』で月1回開催しているリアルイベント内容(2019年7月25日実施)のダイジェスト版です)。

足立 光(あだち・ひかる)
(株)ナイアンティック シニアディレクター プロダクトマーケティング(APAC)
P&Gジャパン(株)、シュワルツコフ ヘンケル(株)社長・会長、(株)ワールド執行役員などを経て、2015年から日本マクドナルド(株)にて上級執行役員・マーケティング本部長としてV字回復をけん引。18年9月より現職。(株)I-neの社外取締役、(株)ローランド・ベルガーやスマートニュース(株)のアドバイザーも兼任。著書に『圧倒的な成果を生み出す「劇薬」の仕事術』『「300億円」赤字だったマックを六本木のバーの店長がV字回復させた秘密』『世界的優良企業の実例に学ぶ「あなたの知らない」マーケティング大原則』。訳書に「P&Gウェイ」「マーケティング・ゲーム」など。オンラインサロン「無双塾」主催。

3「Be Hungry」
英語でよく言われるのは「If you are satisfied, you are dead.(満足したら死んだのと一緒)」です。なんか順調だなと思ったら、それは成長が止まっている証拠なんですよ。なので、つねに新しいチャレンジを追い求めたほうがいいと思います。

多くの体験をするのに、一番簡単なのは社内で仕事の幅をどんどん広げることです。今の仕事で結果を出して、他の仕事を奪い取りにいくんです。私はヘンケルでも最初はドラッグストアで売るリテールのヘアケア事業の責任者をやっていたのですが、2年目を終わったところでリテールのほうが結果が出てしまったので、業務用もやらせてくれ、と直訴しました。仕事は倍になるけど、給料は一緒でいい、と。

結果として同じ給与で倍の仕事をする、という羽目になりましたが(笑)、そのおかげで全然違う経験ができたのはよかったと思ってます。同じ会社の中で担当部署を変わる、担当ブランドを変わるというのは、新しい経験になります。また昇進することでも、視野や責任範囲広がっていきます。

日本には「苦労は買ってでもしろ」という、良いことわざがありますよね。仕事が順調だなと感じたら、変わり時です。

それから、マーケティングって「人の仕事を動かして、結果として、人の行動を変えること」なんですね。だったら、人がどんな心を動かされていること、すなわち流行やトレンドには敏感なほうがいい。新しいもの・流行りものには行ってみる、乗ってみる。何が流行っているか知っていて、なんで流行っているかという自分なりの仮説を言えなかったら、優れたマーケターとは言えませんね。

新しい場所に敏感なのも大事です。この写真はどこだかわかりますか? 遊んでないなー。ホテルの「MOXY(モクシー)東京錦糸町」です。一昨年にけっこう話題になりましたね。バーカウンターでチェックインするんです。
次の写真はわかるかな。銀座のど真ん中に去年オープンした「PLUSTOKYO」のバーカウンター。屋上がどんと広い。たまに飯を食いに行くと、だいたいどこぞの社長さんなどがいますね。

入り浸れという意味ではなくて、話題の場所があったら行ってみましょう、ということです。なんでここが流行ってるんだろう?と考えるのは大事です。今日の参加者はみなさん若いですが、年を取るほど強い刺激が必要です。学生のときに美味しいと思ったものを、いまもう一回食べても、あまり感激しないはずです。感動や感激するためには、年を取れば取るほど強い・新しい刺激がいるんです。「年を取ったのだから、落ちつこう」なんて言ってたら、どんどん老化します。学生に負けちゃいけないし、年齢を言い訳にしないこと。脳は刺激を受け続けないと退化していきます。

4「Life is Short」
人生は意外と短いから、やりたいことをやりましょう、と。

意外とみなさん自覚してないですが、知らずしらずのうちに、他の誰かのために自分の人生を犠牲にしているものです。例えば「家庭のほうが仕事より大事だ」と一般に言われますけど、その「常識」が本当に自分に当てはまるかどうかは、少し冷静に考えて見る必要があると思います。

世間一般に正しいと思われていることはたくさんありますが、それが本当に全員にとって正しいとは限らない。学生時代になりたかった自分になれていますか? 人生は意外と短いので、自分がこうなりたかったというのがあれば、あきらめるのはまだ早すぎるし、何回でもチャレンジした方がいいと思います。

また、気が付かないうちに「無意識の言い訳」をしていませんか? 「仕事が忙しいので~」「先約があるので~」「子供の運動会があるので~」とかね。「先約があるから」と言うのは、先約のほうが(あなたとの約束より)大事だ、と言っているも同然で、実は結構失礼な話です。昔僕は「バイトがあるので授業はいけません」と大学の先生に言ったら、君は授業よりバイトを優先させるだけじゃないか、と。なるほど、とそのとおりで、すべての時間の使い方は自分の優先順位づけ次第、なんですね。

「忙しい」と言わないことも大切です。「心」をなくす、と書いて「忙しい」という字です。忙しそうにしてると、人が誘ってくれなくなります。忙しそうにするのがかっこいいと思っている人がいますが、僕は馬鹿じゃね?と思ってます。

足立さんおススメの10冊!※2019年7月ご登壇時から変化しています
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あと、さきほど昇進したり、仕事の幅を広げたりで体験できることは大事だと言いましたが、自分で経験できることは限定的なので、ビジネス雑誌や新聞、専門誌、ビジネス書は読んだほうがいいです。僕は20-30代のころは1週間に1冊は必ず読んでました。これ(右参照)は僕が普段マーケティング関係で薦めている10冊です。ポイントは乱読することじゃなくて、山口さんとか信頼している人が薦めている本を読むほうが効率は高いです。

ここで、会場にアンケートをしてみましょう。
日経を読んでる人。(パラパラ手が挙がる)お、意外と少ない。
スマートニュースを読んでいる人。こっちのほうが日経より多い。すごい。
twitterを読んでいる人。これが一番多い。いやー若いな、今日は(笑)。

ポイントは、普段自分が呼んでいるものとは「違う」種類のメディアを同時に読むことです。まったく同じ日の同じ時間でも、メディアによってまったく違う情報が流れているんです。いわゆる「パラレルワールド」が存在していて、自分とは全く違う情報を得ている人がたくさんいるんだ、と認識することが大切です。日経は40代以上、スマニューは30代ぐらい、twitterは10-20代が中心ですけど、それらのメディアは全然違うニュースを流してます。ここに映し出したのは、3つのメディアの同じ日の同時刻の画面ですけど、全然載っているニュースが違いますよね。

いまこの会場の多くの方がtwitterを見ているということは、それだけ見ていたら、他の方と情報の量や質の差別化がまったくできせん。だったら、普段と違うもの「も」見たほうがいい。たとえば、twitterを見ている人は、まず日経を見て、スマニューを見て、最後にtwitterを見る。普段日経を見ている人は、まずtwitterを見て、スマニューを見て、日経を見る、というふうに変えてみるといいと思います。毎日です。

すると、「時間がありません」という人がいるんですけど、金で時間を買えばいいんです。僕はテレビは見ません。CMは代理店さんからCMだけ送ってもらって観てたりします。ドラマは流行ってるやつだけ2倍速で見てます。それから、移動は基本的にタクシーに乗ります。通勤時間は30分以内のところにしか住んだことはありません。独身だったころ、ワイシャツに自分でアイロンかけていたんですけど、1枚30-40分かかるんですよ。1枚170円でクリーニング出せるのに。なので、自分でシャツにアイロンかけるの、すっぱり止めました

だいたいのことはお金で買えるんですよ。通勤時間も同じで、湘南に住むとかこだわりがあるのもいいけど、片道30分縮まると、1日1時間増える。月20時間増えるんですよ。通勤中、みんなゲームをしてますけど、1日1時間やったら、年間260時間です。昔は通勤時間には、本を読んだり新聞読んだりしてインプットしてたはずです。それが、ゲームをするということは、インプットの時間が消費の時間に代わってしまってるわけです。できるだけインプットの時間にしてください。

寝る時間を減らす、という方法もあります。コンサルのときにあまりに忙しくて、1回家に帰って子供とご飯を食べて風呂に入れて、オフィスに帰って仕事をする、という生活をしていたら、睡眠時間が4-5時間になっちゃって。それ以来、今でも2時か3時までは寝ません。1日8時間の睡眠時間を4時間にしたら、1日4時間も稼働時間が増えますからね。週に28時間も増える。正直あまり薦めませんけど(笑)。

何かを変えようと思ったら、自分自身の時間配分を変えるしかないんですよ。何かやってたことをやめて、何かに新しいことにその時間を充てる、しかありません。多くの人が、何かか新しいことができない理由は、たいていこれ(なにかをする時間を減らさずに、余った時間で新しいことをしようとしている)に尽きます。