マーケティングの世界では、どのようなキャリアステップを踏むべきなのか、その全体感が見えづらく、目標を定めにくいという声がよく聞かれます。そこで今回は、細分化されたスキルや、事業会社・支援会社といった働く場の話を横に置いて、業界全体を俯瞰して把握すべき、成長ステージの6段階についてざっくりご紹介します。各ステージの詳細は書籍『マーケティングの仕事と年収のリアル』で、【めざす水準】【必要な知識・スキル】【インプットすべき情報】も整理していますので、ぜひご覧ください。

マーケティングキャリアの6段階
拡大画像表示

 マーケティングの世界は、デジタル化によって業務やスキルが細分化されてきています。今回は、“目の前の仕事をうまくやるための、細分化されたスキル”や働く場の話から一歩離れ、マーケティング職でキャリアをつくるために、横断的に俯瞰した成長ステージを6段階(図表)に分けてお伝えします。

【マーケティングキャリアの6段階】
・ステージ6:マーケティングに強い経営者(CEO)
・ステージ5:ブランド・マーケティング全体の責任者(CMO)
・ステージ4:マーケティング施策の統合者(ブランドマネジャー)
・ステージ3:特定領域の専門家(スペシャリスト)
・ステージ2:特定業務の担当者(ワーカー)
・ステージ1:マーケティング業務の見習い

 6段階というと、みなさんの社内の人事グレードより大ざっぱに見えるかもしれません。この成長ステージはマーケティングのキャリアを大きく考えるためのものなので、複雑性を減らし6段階に集約しています。大企業内での昇格や賃金テーブルと結びついたグレードであれば、各ステージがさらに2~3段階は細分化されて運用されているイメージです。

 マーケティングのキャリア構築においては、ステージ1~3であれば専門領域の選択以外に迷う要素は少ないでしょう。まずはステージ3の何かしらの専門領域を確立した「狭くても深いプロ」をめざすのが王道です。そもそも、ステージ3で専門家として一定の評価を得るまでの道のりも大変なことです。実際には、大半の人はステージ3の入り口で評価が停滞します。そのため、ステージ3で、社内だけでなく業界内で名が知られるスターになるというのも、ひとつの立派なキャリアのゴールといえます。

 そのスペシャリストを脱し、マネジメントをめざすとなると、その入り口となるステージ4のブランドマネジャーへと進みます。ステージ4からは、業務が自分ひとりで完遂できなくなり、さまざまなマーケティング施策を連携・調和させる調整業務など社内政治の比重が一気に高まります。言うなれば、ひとつの楽器の演奏者から、オーケストラの指揮者としての役割を帯びてきます。

 たとえば、画期的で素晴らしい商品の仕様やデザインができても、生産部門から突き返されて、なんとか実現できないか交渉することになったとします。論理による説得もあれば、飲みに行って関係を深めるような泥臭い手法が有効なこともあるでしょう。専門性だけでなく人心掌握術や合意形成のプレゼンテーション力、議論ファシリテーション力などが求められてきます

 また、限られた予算の中で、商品・サービスの内容を大きく変えれば売れるのか、パッケージデザインを変えれば売れるのか、広告宣伝に投資を集中させれば売れるのか……答えを出すのが難しい問いに対し、考え抜き、その方針で経営陣から各種現場を説得してまわるのも、難易度の高い仕事です。

 このような社内外との折衝がストレスになるほど不得意な場合は、マネジメントには向いていないかもしれません。ステージ4のマネジメントへの道は、その可能性を見据えてチャレンジしつつも、自分の適性を客観視して冷静に見極める目線が重要です。マネジメントが不向きであれば、ステージ3のスペシャリストとして極めるのも、ひとつの選択肢です。

 繰り返しお伝えしますが、マネジメントとスペシャリストは役割の違いにすぎず、場合によっては報酬レベルが逆転するケースすらあります。高度なスペシャリストとして独立起業した人は、ときにマネジメントを大きく超える報酬を得る人もいるからです。

 あえて下世話に金額の話をすれば、ごくまれにスターレベルのクリエイターが独立すると、年収が億単位になる人もいます。そこまで極端でなくとも、スペシャリストとして独立起業し、年収が数千万円レベルに達する人も多数存在します。つまり、スペシャリストかマネジメントかの選択は、報酬面においても、単純な上下関係ではありません。

 このステージの違いを知り、自分が目指すべき方向性を定めることが非常に大切です。

 書籍『マーケティングの仕事と年収のリアル』では、各成長ステージにおける【めざす水準】【必要な知識・スキル】【インプットすべき情報】を詳しく解説していますので、ぜひ参考になさってください。