何でも包んでしまう餃子は小宇宙?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「伝説の居酒屋」を営んでいていた
料理作家・じろまるいずみさんのエッセイ集

 私が料理なるものをやり始めたのは高校生の時だった。ずっと専業主婦だった母が、離婚を見据えて働き始めた頃で、弟や妹の食事の支度は私の仕事になったのだ。といっても別に料理好きでも何でもなく、とにかく食べ盛りの弟妹の空腹を満たすものを作るのだ。

『餃子のおんがえし』書影
『餃子のおんがえし』 じろまるいずみ 晶文社刊 1500円+税

 年中作っていたのが炊き込みご飯。残り物の野菜だのツナ缶だの適当に放り込んでしょうゆ入れて炊く。ほぼ毎日作っていた。炊き込みご飯だとあとは小さなおかずとインスタント味噌汁があれば格好がつく。白飯だと、やれ主菜だ副菜だと面倒なのだ。それで毎日毎日作っていたら、ある日弟にキレられた(笑)。「姉ちゃん!俺は最後にお茶漬けしたいんだよ!白飯炊いてくれよ!」。今でも弟は「炊き込みご飯は、あのころもう一生分食った」という。その後実家を出て一人暮らしの時はとにかく金がなく、雑炊とか切り餅をブヨブヨになるまで煮込んだやつにもやしとか入れてとか食べていた。嵩増し飯時代!

 そうそう、子育てに忙しかった頃は、冷凍食品やレトルトにずいぶん助けられた。仕事が忙しくて食事の支度がおろそかだと思われたくなくて皿数を多くしようとするものの、時間に追われていたとき、本当に助かったのだ。子育ても終わり、娘は外食が多いので、最近は80過ぎの母と二人飯。料理する時間はあるけどむしろ皿数は減った。そんなにたくさん食べないし、何か季節の旬のものを一皿で十分という気持ちになり、もっぱら一汁一菜だ。気にするのは減塩。あと良い油だな…