横須賀、嘉手納基地で感染者、
「60日の移動停止」にも抜け穴

 もちろん米軍にとっても新型コロナウイルスの蔓延は、戦力と士気の低下を招くから、その防止に努力しているのは確かだろう。だがどの国の衛生機関も完全ではない。

 米海軍横須賀基地では3月26日から28日までに米軍人5人の感染が発表され、そのうち2人は基地外に住んでいた。

 米空軍嘉手納基地でも3月27・28日に軍人2人、家族1人の感染者が出ている。

 米国防総省は同29日、米軍人の感染者は568人と発表したが、その後、基地別の人数など詳細は公表されていない。

 河野太郎防衛相は4月3日の記者会見で「米国防総省が個別の基地、部隊の感染情報を公表しない指針を示したため発表は差し控えたい」と述べた。

 だが実際には米軍基地の医療機関は日本の保健所と感染者の行動履歴など詳しい情報を共有し、機密扱いはしていない。日本政府側が沖縄などでの影響を警戒し、公表を抑えているのではとの疑いも出る。

 駐留軍労働者の感染は横須賀、佐世保の海軍基地で各1人が出たことを神奈川県相模原市と長崎県佐世保市が発表している。

 米国防総省は新型コロナウイルスの蔓延を防ぐため、3月25日から60日間、海外での米軍将兵、同省文官、それらの家族の移動を停止する、と発表している。

 それが完全に実行されれば、2カ月間は米軍人、軍属、家族が日本に入国することはなくなるはずだ。

 だがこれには「各省の長官、司令官が任務即応態勢の確保のため、必要な特例、と決定すればこの政策を回避できる」とのただし書きが付いている。

 もし「何が起きようが米軍は60日間、海外で絶対に動いてはならない」と命令すれば、米国は一時的に武装解除をするような形になる。だからこのただし書きは当然だが、一方で大きな抜け道にもなる。

「ルーズヴェルト」で137人艦内感染
対岸の火事ではない

 原子力空母「セオドア・ルーズヴェルト」(9万7900t)で発生した大規模な艦内感染は日本にとり対岸の火事ではない。

 米軍艦22隻が横須賀と佐世保を母港とし、横須賀には揚陸戦指揮艦1隻、空母1隻、巡洋艦3隻、駆逐艦8隻、佐世保に強襲揚陸艦1隻、揚陸艦4隻、掃海艦4隻、米海軍将兵2万9050人が駐留する。

 そのほかにも潜水艦などの米軍艦や輸送船がしばしば日本の港に寄港している。