日本には、デフレを脱却しなければならない切実な理由がある。デフレは借金の負担が重くなるので、国の借金が世界一多い日本は返済できなくなる可能性が高くなるからだ。日本は東京五輪に備えて多額の借金をしたが、コロナショックで1年延期となった。そして悪くすると、1年後もコロナ感染が終息しておらず、五輪は中止に追い込まれるかもしれない。

 また、今回のコロナショックで大規模な経済対策を再び借金で行うことになる。国の借金である国債を返せない確率が上がると、その国の通貨の価値が下がる。そこでさらに通貨を発行すると、一層価値の下落に拍車が掛かる。

 このようにして通貨の価値が急激に下がると、モノの価値が急激に上がり、極度のインフレになる可能性も否定はできない。これを「ハイパーインフレ」という。

ハイパーインフレで明暗分かれる
「持ち家」と「賃貸」

 戦後の日本でも、このハイパーインフレが起こっている。1945年の終戦から1949年末までに物価が約70倍になったのだ。国際会計基準の定めでは「3年間で累積100%以上の物価上昇」とされているので、明らかにこれに当たる。インフレになると、借金がインフレになった分だけ棒引きにされる。過去に借りたお金の価値が下がるからだ。こうして、破綻している国の財政問題は解消する。

 コロナショックは全世界の経済を止めるほどの猛威で、すべての国が自国防衛に走っている。自国以外がどうなろうとお構いなしの情勢にある。こんな中では何が起きてもおかしくない。自国通貨の価値が大きく下落するハイパーインフレの可能性があることも、視野に入れておいた方がいい。そうした事態に備えて個人ができることは、限られている。

 実例を挙げてみよう。Aさんは賃貸に住んで、貯金が1000万円ある。Bさんは500万円を頭金にして、4500万円のローンを組み、5000万円のマンションを購入して住んでいる。ハイパーインフレが起こると2人の明暗ははっきりする。モノの価格や家賃が大幅に上がるので、Aさんの貯金は価値が大幅に下がるのだ。戦後のハイパーインフレの再来なら、1000万円で買えるものは70倍なので、貯金は1000万円÷70=14万円ほどになり、ほぼ全財産がなくなってしまう。間違いなく貧乏人だ。