コロナ対応失敗のイタリア、世界に与える希望ミラノの総合病院に新設された集中治療室に立つマルコ・ジャケッティ氏 Photo:CHIARA GOIA for The Wall Street Journal

 【ミラノ】ラッパーのフェデリコ・ルチアさんの音楽は、イタリア社会を酷評する歌詞に満ちている。

 しかし、3月に新型コロナウイルスがルチアさんの故郷ミラノを襲った際には、妻でファッション分野の起業家でもあるキアラ・フェラーニさんとともに、知名度を生かして寄付を募った。夫妻が集めた500万ドル(約5億4400万円)はすぐにミラノのサンラファエレ病院に送られ、病床数20床の新型コロナ患者向け集中治療室(ICU)が新設された。

 「フェデス」の名で活動しているルチア氏は「このウイルス危機が私たちに一体感を持たせてくれた。私たちは、少なくとも過去30年間見られなかったような連帯感を抱いている」と語った。

 イタリアは長い間、ルールに反抗する国民、滑稽な政治、機能不全の官僚制度を特徴とする国と評されてきた。しかし3月に入ってからの全国規模の封鎖措置は、規則を嫌い自由を愛する社会でも、新型ウイルスの感染抑制に向けた重要な時期には団結できることを証明しつつある。