楊さんにとって東京での生活ははじめての一人暮らしだ。

 福岡時代のルームメイトは別の進路を選んだ。上海ではずっと家族と一緒だった。

 コロナ蔓延で不安なことに加えて、大学院はいつ再開するのかまったくわからない。緊急事態宣言の明ける5月上旬に再開を予定しているとはいうが、それもコロナ次第だ。それに東京に来たばかりで友達も少なければ、アルバイトもまだ決めていない。

 越してきて間もないアパートに、引きこもる毎日が続いている楊さんは「ひとりでいる時間が長すぎるんです。だからつい、いやなことばかり考えてしまって」と、か細い声で話す。

 孤独と不安にさいなまれる中、「もしかしたら自分も感染しているのではないか」と思いつめてパニックになり、両親に連絡したこともあったそうだ。このままでいいのか、どうしたらいいのか、何も手につかない日々が続いている。

在留と帰国で揺れる
留学生に支援の検討を

 外国人留学生たちが困っているのは生活面だけではない。学業において研究テーマを見失った留学生もいる。

 河南省鄭州市出身の牛爽さん(24)は大学院で、「在日中国人の異文化適応」というテーマについて調べるつもりだった。

「日本で働く中国人が増えるに従い、育児が大きな問題になってきたんです。中国人夫婦の多くは共働きで、子どもの面倒がなかなか見られません。保育園はお金がかかるし、夜間は心配です。そのため、夫婦の親たちが日本に来て孫の世話をするという家族がこの数年、急激に増えました。彼らの生活や日本社会との交流などを調べようと思っていたのです」

 だが、コロナで夫婦の親たちはいっせいに帰国し、牛さんがこの春から始めるつもりだった研究は立ち消えとなった。そもそも大学院の再開もはっきりしない。さらに、祖父母がいなくなり子育てに苦労しているであろう中国人夫婦たちの生活も気がかりだ。