山田さんは、日本の大手繊維メーカーに勤め、上海駐在3年目となる。中国で新型コロナウイルスの蔓延が真っ最中の1月中旬に、会社の通告により一時的に日本に帰国した。しかし最近、関西空港から再び上海に戻った。そのときの空港や自宅での隔離生活のほか、現在の上海の状況などを聞いた。

上海の空港では
物々しい雰囲気に驚く

――まず、山田さんは、一旦日本に帰国したのに、なぜ、再び中国に戻ったのですか。

 3月ごろから、上海の(感染拡大の)状況が少しずつ落ち着いてきた様子だったのと、逆に最近は日本の方が感染リスクが高まっていたからです。また、現在妻が妊娠中で今月出産を控えており、通っていた病院が上海の医療機関だったということもあります。もちろん、中国でたくさんの業務を抱えており、会社から中国に戻ることを許されたということもあります。

――実際、関西空港から駐在先の上海に戻ったとき、出入国の手続きなどはどうでしたか。

 上海入国の際は、家族4人で日本の航空会社を使いました。関空空港での航空会社のカウンターでは「上海到着後は強制的に隔離となってしまいますが、それでも搭乗されますか?」という質問だけあって、検温などもなく、通常の手続きとはあまり変わりませんでした。

 余談ですが、出国審査の際、偶然、ベトナム人の団体に遭遇しました。係員が一人ひとりに「今回帰国すると、現在のビザが無効となり、日本への再入国は出来ません。それでもいいですか」などと、何度も確認して、説明しているのを見ました。

――上海までの機内の様子はどのような感じでしたか?

 搭乗率は50%弱というところでしょうか。いつもより大幅に少ないですが、ガラガラという感じではありませんでした。乗客の中には、中国籍と見られる人たちが防護服にゴーグルを着用したり、日本人でも不織布マスクの上から毒ガス用のマスクを装着している人がいて、CA(客室乗務員)がそれらをみて噴き出していました(笑)。機内では、いつもの入国カード以外に「健康証明」(直近2週間どこにいたか、感染者と接触はなかったかなどを記入する)を手渡された。機内食とかは、いつもと同じでしたが、飲み物はミネラルウォーターのみでした。

――上海の空港に着いたときの印象はどうでしたか。

 非常に物々しい雰囲気でしたね。一番驚いたのが、空港のターミナル内を防護服で完全武装した大勢の係員が巡回し、まるで感染症をテーマにした映画のワンシーンのようでした。でも、現実なんですよね。その緊張感は、日本の空港とは「雲泥の差」でした。一瞬、怖いという感じもしましたが、逆に、そこまで徹底している面で、むしろ安心感が得られました。完全防備で守っているな…という感じで。