中国のコロナ対策は、(1)海外からのウイルス逆輸入を防ぎつつ、(2)経済復興のためにかじを切る段階に突入しているように見受けられる。そのために、共産党指導部はコロナ情勢を把握し、トップダウンで指示を出すことに奔走している。
直近では4月15日、中央政治局常務委員が集まり、最高レベルで意思や政策を確認し合った。翌16日には中央新型肺炎疫病工作領導小組の座長を務める李克強首相が会議を収集。極め付きとして17日、中央政治局が会議を開き、前出2つの会議の結果を踏まえた上で、(1)と(2)に関して具体的な対策を審議した。
筆者から見ても、習近平総書記が司会を務めた4月17日の中央政治局会議は、コロナ情勢をめぐる党指導部の認識と今後に向けての動きを理解する上で極めて重要である。同会議が、同日に発表された第1四半期の経済情勢をめぐる統計を踏まえたものであること考えると、なおさらである。
3月から急回復の中国経済
海外のコロナまん延を懸念
国家統計局の発表によれば、コロナショックの影響を如実に受けた第1四半期の成長率はマイナス6.8%で、1992年に四半期ごとの統計を公表して以来、初めてのマイナス成長を記録した。ただ、これは全く想定内の結果だといえよう。当初は、マイナス2桁成長もあるのではという観測もあったが、実際にコロナの存在やまん延が公式に確認されたのは1月下旬であり、3月中旬以降には生産、労働活動の再開も見られたため、「経済が完全に止まっていたのは実際1カ月半程度であった」(国家発展改革委員会局長級幹部)模様である。
具体的に見ていくと、この期間、固定資産投資はマイナス16.1%(うち民間がマイナス18.8%)、全国不動産開発投資がマイナス7.7%、対外貿易はマイナス6.4%(うち輸出がマイナス11.4%、輸入がマイナス0.7%)、国民の可処分所得は8561元で、物価の変動分の影響を差し引いた場合マイナス3.9%となった。