世界保健機関(WHO)が、「布マスクは医学的に効果がない」と言っているくらいだから、誰も着けないのだろう。安倍首相だけは言い出した手前、無理して着けているのだと国民には映る。

 いくら「みこしは軽くてパーがいい」が首相に対する政治家や官僚、専門家の本音でも、一応は一国の宰相なのだから、もう少しリスペクトする姿勢を見せたほうがいい。これでは、国民が布マスクを着けて、大きなマスクは医療機関に優先的に配布しようという気にはなれない。

 さらに、シンガーソングライター・星野源氏が演奏する楽曲「うちで踊ろう」に合わせて、安倍首相が自宅とみられる私室で犬とくつろぐ姿の動画をツイッターに投稿し、ネットで「まるでKY(空気が読めない)だ」などと大炎上した。

 やることなすこと裏目に出ていて、内閣不支持率が支持率を上回る世論調査結果が相次いで発表された。これに連立与党の公明党が動き、山口那津男代表が安倍首相に「連立離脱」の可能性に踏み込んで「所得制限なしで国民1人当たり10万円の支給」の実現を強く主張した。山口代表のあまりの剣幕に、安倍首相は受け入れざるを得なかったという。

「一律10万円の現金給付」は
必要だが大衆迎合の極み

 筆者も、「減収世帯30万円支給」が撤回されて「一律10万円給付」になったのは、悪くないことだと思う。国民の不満が非常に高まっており、まずはそれを鎮めなければいけないからだ。言い換えれば、実際に経済や生活支援にどういう効果があるか以前に、国民の「精神安定剤」として必要なものになってしまったのだ。

 だが、酷評された案だからこそ、フェアに指摘しておきたいこともある。それは、「減収世帯に30万円支給」は「ポピュリズム(大衆迎合)的な政策」とは真逆のものだということだ。自民党の支持者がまったく利益を得られないものだったからである。

 現金30万円の受給には、大まかに(1)世帯主の月収が住民税非課税水準まで減少、(2)月収が半分以下となり、年収換算で住民税非課税水準の2倍以下に、の2つの要件があった。