「アベノマスク」は海外でも物笑いの種
現金給付も世帯限定・自己申請に批判

 緊急事態宣言発動のタイミング以外でも、安倍政権への批判が高まっている。緊急事態宣言がいつ出るか、どんな「緊急経済対策」が打ち出されるのかと国民が固唾をのんで見守っていたとき、安倍政権が表明したのが「再利用が可能な布製のマスクを全世帯に2枚ずつ配布する」方針だった。

 しかし、この対策は日本国内のみならず、海外でも厳しく批判されてしまった。例えば、米通信社ブルームバーグは“From Abenomics to Abenomask: Japan Mask Plan Meets With Derision”という記事で、安倍首相の経済政策「アベノミクス」をもじって、「アベノマスク」という造語がツイッターで生まれて拡散していることを報じ、「計画は物笑いの種になっている」と厳しく批判した。

 一方、安倍政権が検討中の緊急経済対策で焦点の1つとなっている「現金給付」について、首相は自民党の岸田文雄政調会長と会談。「一定の水準まで所得が減少した世帯に対し、1世帯当たり、30万円を給付すること」を決定した。だが、その評判は芳しくない。

「現金給付」は、「全世帯一律」か「所得が急減した世帯」だけとなるかが焦点だった。結局、「所得の急減」を条件とすることが決まった。岸田氏は、「迅速に現金を支給することが大事だ。自己申告制とするなど簡易な手続きとすることで素早く個人に支給できる制度」と説明した。また、西村康稔経済再生担当相は、「前例にない仕組みを構築したい」と強調した。

 しかし、欧米諸国のような全国民一律の現金給付とならなかったことに批判が集中している。国民の大多数が被害に遭っている状況だ。対象者を絞って給付することは適切ではないというのだ。確かにサラリーマンの家庭は、給与所得が減っていないだろう。しかし、子どもの学校が休校で食費が増加する場合がある。高齢者の介護を在宅に切り替えて出費が増えた家庭もあるという。これらによる所得減少は現金給付の対象にならない。所得の減少を証明できるのは、基本的に自営業者の世帯ということになる。

 現金給付が「自己申告」であること自体も批判の対象だ。現金給付を受けたい人は、自ら所得が減少したことを示す資料を用意し、市区町村の窓口などに申請しなければならない。資料作成と審査の手続きが煩雑になることが予想される。結局、迅速な現金給付は難しくなるというのだ。

 さらに、自己申告制は給付金額を抑えることが目的だという指摘が出ている。日本人はわれ先に現金をもらおうと役所に殺到しない。政府は「みんなが大変なときに自分だけ申告しては申し訳ない」と申告を控えるだろうと考えているというのだ。それならば、「マイナンバー」を使って、全国民に一律現金給付したほうが、より公平で効果的な「前例のない仕組み」になるのではないかという意見さえ出ている状況だ。

 このように、安倍政権の新型コロナウイルス対策は後手に回り、打ち出された対策自体も「too little, too late(少なすぎ、遅すぎ)」だと批判されている。