――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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新型コロナウイルスの感染拡大が、病院経営のビジネスモデルを揺るがしている。米国上場の指標銘柄である最大手企業が発表した今年第1四半期決算は、業界全体にとって不吉な兆候となった。
全米で約200カ所の病院と100カ所以上の手術センターを運営するHCAヘルスケアは21日午前、2020年の業績見通しを撤回。配当と自社株買い計画についても白紙にし、設備投資を削減することを明らかにした。1月に公表された当初の業績予想では、売上高が535億~555億ドル(約5兆7700億~6兆円)だった。
第1四半期の売上高は129億ドルと、実際には前年同期比約2%増だが、それでも業績は悪化の兆候を示している。病院にとっては、救急医療より人工膝関節置換術など待機的手術の利幅の方が格段に大きいが、これらの手術は新型コロナウイルス患者の治療が優先されるため、ほとんど中止されている。
同一施設での入院手術数は前年同期比1.8%減。外来手術数は6%減で、第2四半期はさらに大幅に減少しそうだ。HCAによると、4月に入ってからの外来手術数は前年同期より約70%減少している。