病院に消毒液を300本寄付して、新型コロナウイルス肺炎の母親の入院資格を得たいPhoto:Yi Magazine

新型コロナウイルスの世界的な大流行は、欧州へとその中心が移り、今後は米国やアフリカでの感染拡大が危惧されている。第一財経は中国最大の経済情報メディアで、2020年上旬、ネット上の単なる噂にすぎなかった「武漢における原因不明の肺炎のまん延」の裏付け取材を敢行し、12月末に報じたことでも知られる。その第一財経マガジン合併号特集に掲載された、武漢での肺炎まん延による混乱を詳細に報じたルポを、特別翻訳してお届けする。Vol.2は新型コロナウイルス肺炎で苦しむ母親を救おうと病院をかけずり回った家族の物語だ。

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 こう言えば、ちょっと残酷かもしれないが、潘璇の母親は武漢市の新冠肺炎患者の中でも幸運なほうだろう。

 潘璇は看護師で、病人の看護経験を豊富に持つ医薬業界の“資源”だ。彼女は人との付き合いが上手で、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を使って助けを求めることもできる。つまり潘璇の一家は病気に対応する能力が高く、技術もあり、患者のための十分な治療資源を得られる家族だと言える。

 しかし、たとえこれらの条件が揃っていても、この疫病まん延の中、潘璇は母親のために治療を求めることは依然としてとても困難であり、彼女は医療物資を寄付して母親を入院させてもらうことを考えるほどだった。実際に彼女は医療物資を集めて病院に送ったが、彼女はその時に結局、母親のことは言わなかった。

 幸い、後になり母親は治療を受けることができたが、彼女は自分も感染したことに気づいたのだった。