深夜に実施される中国マスク工場の緊急視察。人工呼吸器を確保しようと急きょ行われた巨額の送金。上海工場の外で産地不明のマスクを隠れて売ろうとする中間業者。外国の政府や病院、企業(これに加え、そのすべての中間業者)が人工呼吸器やマスクなどの防護用品の調達に奔走する中、医療品を扱う中国のサプライチェーン(部品の調達・供給網)は「無法地帯」と化している。中国の工場は、買い手候補が殺到する現状を好機ととらえ、取引条件を一方的に決めたり、全額前払いを要求したりして、相手の足元をみているようだ。一方、買い手は新たに見つけた取引相手を素早く見定めなければならない──時には、地球の裏側から動画を通じて。最大の個人用防護具(PPE)生産国である中国の混乱した状況は、新型コロナウイルスが世界で猛威を振るう中、米国などの買い手がいかに必死になって医療備品を調達しようとしているかを浮き彫りにする。
中国医療品に殺到の欧米、待ち受ける「無法地帯」
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