次に3月11日から現在(4月25日)までの全都道府県のデータを使って相関関係を確かめる。この時、時間とともに感染者数が増加しているので、時間トレンドも説明変数に加える。感染者数は、10日ごとにほぼ倍増しているので、トレンド=1.07の日数乗としている。結果は、表1のようになる。

 検査数は10万人当たりの値である。この意味は、10万人当たりの検査数が1増えれば感染者数は0.014人増えるということである。人口100万人当たりの韓国の検査数は、3月13日と古いデータであるが、4800件余りである(「新型コロナウイルスの検査 世界の検査数は? 日本の現状は?」NHKニュース2020年3月18日)。人口10万人当たりなら、480件ということになる。日本は、現在10万人当たり98人を検査しているにすぎない。これを韓国の検査数480人にすれば10万人当たりの感染者数は0.014×382(480-98)=5.3人増える。

 ただし、この推計に用いたサンプルでは、10万人当たりの検査人数の平均値は44.6人、標準偏差は46.0である。推計した係数は、検査数が少し増加したら陽性者数がどれだけ増えるかという意味なので、5倍近くに増やしたときに信頼できる係数であるかは分からない。とはいえ、増加すること自体は間違いない。

 0.014という係数を信頼できるとすると、日本全体での患者数は5.3÷10万×日本の人口1億2600万人=6678人増えることになる。4月26日現在の感染者数の1万3232人が実は1万9910人であるかもしれないということである。すなわち現在の感染者数は、実は5割程度多いのかもしれない。ただし、これは現在の真の感染者が本当はもっと多いとしているだけであって、感染者の今後の増減について何らかの情報を与えるものではない。

統計的な検証からみえてきた
コロナ「クラスター対策」への疑問

 以上の統計的分析により、「検査をしていないから患者数が少ない」という説はおそらく正しいと結論づけられた。しかし、真の感染者数は現在明らかになっている感染者数の5割増し程度で、隠れた感染者がとてつもなく多いというわけではない。それでも、これは集団感染をつぶしていくことで感染者を抑えることができるという議論、クラスター論に疑問を投げかけるものである。

 すでに感染経路が分からない感染者数が半分以上となっているということであるから(例えば、「東京都で新たに181人感染、経路不明7割 新型コロナ」日本経済新聞、2020年4月9日)、感染経路の分からない感染者数が仮に半分だとしても、真の感染者数が検査によって明らかになった感染者の1.5倍いるとすれば、感染経路が分からない真の感染者は「(0.5+0.5)÷1.5=0.66…」ということで、すでに3分の2を占めていることになる。クラスター対策だけでなく、緊急事態宣言による一般的な接触削減方法が必要になったということである。

付 データについて
東洋経済オンライン
全国のデータ
・ファイルURL:https://github.com/kaz-ogiwara/covid19/blob/master/data/summary.csv
・厚生労働省の開示例:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10700.html
都道府県別のデータ
・ファイル:https://github.com/kaz-ogiwara/covid19/blob/master/data/prefectures-2.csv
・厚生労働省の開示例:https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000619077.pdf