誤解を解く(1)
誤:インデックスファンドは全般的に下げ相場に不向き
正:下げ相場でもインデックスファンドでいい

「株式市場全般が下落する場合には、インデックスファンドに投資してもだめだ。選別的に投資するアクティブ運用の方がいい」という話は、筆者の知る限り1980年代から存在していた。運用会社や証券会社など、本来なら運用の「プロ」と目される人々の中にも、こう言う人はいる。

 しかし、インデックスファンドは「アクティブ運用の平均をアクティブ運用よりも低い手数料で提供するもの」だ。従って、市場全般の下げ局面にあっては大負けしているアクティブファンドもあって、両者の優劣の関係は基本的に変わらない。「全般的な下げ相場では、株式に投資するファンド全般がだめ」なのだ。その中で、「インデックスファンドとアクティブファンドの関係は変わらない」と原理的には理解しておくといい。

 下げ相場だからといって、市場平均よりも成績のいい銘柄を選ぶことが簡単になるわけではない。「選別」がうまくいった場合を想像して比較するのは正しくない。

 ただし、細かな話をすると、アクティブファンドはその性質上いくらかのキャッシュを抱えていることが多い。そのため大幅な急落相場では、常に運用資金のほぼ100%を株式に投資するインデックスファンドよりもアクティブファンドの方が、下落率がましになることが多い。運用上の無駄がたまたま奏功するのだ。

 アクティブファンドのこの性質がどうしてもうらやましいのであれば、インデックス投資家は投資額を例えば現在の100%から、95%なり90%なりに引き下げるといい。ただし、期待できるリターンは当然小さくなる。

 人はつい「努力すると、相対的にいい個別の株式やファンドを選べるのではないか」と思いがちだ。しかし、これは、行動経済学で「オーバーコンフィデンス(自信過剰)」として研究されている心理である。意思決定の間違いのもとであると同時に、個人が金融業界のカモ(≒余計な手数料を払う人)になる原因でもある。

 また、ここが肝心な点だが、「これまで下げ相場だった」ことと「これから下げ相場である」こととは無関係だ。残念ながら、これから下げ相場なのかどうかは基本的に予見できない。「下げ相場にあっては、インデックスファンドはダメ(もちろんアクティブファンドもダメ)」という知識自体は間違いではない。ただ、次の展開が下げ相場か否かが分からないのだから、この知識は使いようがない。

 自分にとってリスクが許容可能で、かつ長期的にみてリスクに見合うリターンが取れるだろうと思って投資しているのだとすると、投資を続ける以外の選択肢はない。また、そのための手段としてインデックスファンドが適切なのだから、そのまま投資し続けているのがいいのだ。