ダイヤモンド決算報#ANA・JALPhoto:AFP=JIJI

ANAホールディングスと日本航空(JAL)の2020年3月期決算発表は、「大借金」発表の場と化した。最悪のケースで資金繰りを試算すると、新規の資金調達なりをしなければ、ANAは約3カ月、JALは約6カ月で運転資金が干上がるのだから、大借金をして当たり前。苦しい状況なのは両社同じだが、資金繰りは実はANAの方が厳しい。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

ANAとJALの決算発表は
「大借金」発表の場と化した

 4月末に行われたANAホールディングス(以下、ANA)と日本航空(JAL)の2020年3月期決算発表は、そろって「大借金」発表の場と化した。新型コロナウイルスの感染拡大で世界中の航空会社が危機に瀕しており、ANAもJALも例外ではなかった。

 一般に航空会社は売上高の約9割をコストに持っていかれる。このうちおよそ6割は航空機材費、人件費、賃料などの固定費だ。固定費は、飛行機が飛ぼうが飛ぶまいが、客が乗ろうが乗るまいが、コストとしてのしかかる。

 固定費をそのまま抱えた状態では、稼働を8~9割レベルにでも戻さないと、キャッシュを吸い取られる。通常時であれば、ゴールデンウィークは満員御礼だが、今年は旅客数が9割減という悲惨なレベル。大借金をして当たり前ではある。

 2020年3月期決算を基に全面運休という最悪のケースで資金繰りを試算すると、新規の資金調達なりをしなければ、ANAは約3カ月、JALは約6カ月で運転資金が干上がる。

 利益が激減しコストが垂れ流されるという苦しい状況なのは両社同じだが、資金繰りは実はANAの方が厳しい。