倒産連鎖危機#ANAインタビュー
Photo by Yoshihisa Wada

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内航空大手ANAは3月末からの1カ月間、国際線の7割、国内線の2割を運休・減便する。客室乗務員は5000人を一時休業させる方針だ。特集『倒産連鎖危機』の#21では、名物経営者としてANA社長を務めた重鎮、大橋洋治・ANAホールディングス相談役が危機後の道を説いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)

「私の航空人生の中で
一番厳しい状況」

――大橋さんが全日本空輸(ANA)の社長に就任した2001年、同時多発テロが起き、03年のイラク戦争やSARS(重症急性呼吸器症候群)と危機が続きました。

 02年に日本航空(JAL)と日本エアシステム(JAS)の統合もあったんですよね。

――新型コロナウイルスによる危機は、その当時を上回るものですか。

 上回る。私の航空人生の中で、一番厳しい状況。これまでに経験したことがないような厳しい経営環境であることは間違いありません。

 といってもね、ちょっと前までは、今日(3月23日)は「危機を乗り越えました」って明るく話せるかなと思っていたんですよ。それがこの1週間でガラッと変わってしまった。

 欧州や米国まで大変なことになりました。欧米の大手勢は国が助けないと持たない状況ですよ。

――JALもANAも国の支援なしでは持たない?

 最後の最後まで支援なしでやっていきたい気持ちを捨てず、自力で踏ん張って、工夫して乗り越えたいところ。ただ、お客さんがいないし、周りもみんな飛ばなくなり、1社でどうこうできるものでもなくなっています。

――ANAは運休・減便が相次ぎ、客室乗務員5000人を一時休業させる方向で雇用調整を始めています。

 やりたくないことでも、仕方ありません。

 状況は刻々と変化し、割と早目に収束するパターンから長引くパターンまで想定しておく必要があります。

――こうした局面において、航空会社の経営で大事になってくるのは?

 まずは手持ち資金。これがないとつぶれちゃいます。

――その点でANAはJALと比べるときついのでは?

 きついですよ。世界の同業の中でこの点で強いのはライアンエアー(欧州最大のLCC〈格安航空〉)くらいです。

――近年のANAの経営陣は「リーマンショックのときに、労使交渉や子会社再編などを行って筋肉質な体制に生まれ変わった」と言ってきました。ただ、この10年でグループ従業員は1万人も増えていますし、機材や新拠点への投資も相次ぎ、全体的に高コスト体質になっている印象です。筋肉質ではなくなってきていたのでは?

 ご指摘の通りです。リーマンショックのときにかなりスリム化しました。ただ、その後の深掘りという点では不十分なところがあったかもしれない。裏を返せば、そこにまだ改革の余地はあるんですけどね。

――ANAは近年、投資をし、国際線をどんどん拡大してきました。これを見直すべきなんでしょうか。

 いやいや、コロナ危機が落ち着いたら、イケイケドンドンでやらないかんですよ。JALと戦う好機ぐらいの気持ちでいかないと。