わが国に求められる感染拡大阻止
その後の構造改革

 わが国政府は、何よりも感染対策を徹底し、国民の安心感を高めなければならない。足元、安倍政権の支持率は低下している。大きな要因として、感染・経済対策の遅れがある。鉄鋼、航空、自動車、観光などで企業の業績懸念は高まっている。4~6月期のGDP成長率がどの程度落ち込むか、予想はかなり難しい。

 この状況下、わが国がアフターコロナの国際情勢、経済の変化に対応できるかが不透明だ。国際社会では、米国のリーダーシップが低下し、中国の存在感が増している。EUでは欧州連携よりも、各国が自国の事情を優先した。欧州連携の綻びは広がっている。新興国はさらに深刻だ。感染拡大を受け治安が悪化し、社会情勢の不安定化に拍車がかかっている。

 経済・社会面では、テレワークの普及に伴う世界的な働き方改革、IoT(インターネット・オブ・シングス)を用いた社会の管理といったメガトレンドが出現しつつある。また、世界各国で、“命の尊さ”が再認識され、医療、公衆衛生体制の強化は最優先課題だ。

 中国では共産党が情報通信分野の先端技術を総動員するなどし、表向き、社会心理の悪化が食い止められているように見える。それは、IT分野での競争力によって、国の力をより強化し始めたことを示唆する。今後、IT分野での米中の覇権争いは激化するだろう。同時に、ITを用いたより安全かつコントロールの利いた社会運営など、新しい発想の実現に取り組む企業、国が増えるはずだ。

 わが国がそうした変化やメガトレンド出現に対応するには、まず、国内の感染を止め、人々の安心感を支えることだ。その上で、政府は規制緩和や構造改革を進めなければならない。それが今後の中国との関係強化、各国との連携、成長産業への経営資源の再配分などを目指すことにつながる。

 反対に言えば、感染対策で効果を発揮できない状況が続けば、わが国はGゼロの加速化、メガトレンドの出現といった変化に後れ、経済がさらなる停滞に向かう恐れがある。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)