米国経済が直面しているのは流動性危機なのか、それとも支払い能力危機なのか。経済を健全な状態に戻す上で、この2つの違いが米連邦準備制度理事会(FRB)の重要性を決定付けることになる。融資を利用できないために健全な企業が破綻するのが、流動性危機だ。このような危機はFRBが解決できる。紙幣を増刷し、無制限に資金を貸し出せるためだ。いくら資金を借りることができても企業が生き残れないのが、支払い能力危機だ。企業に必要なのは、売り上げを伸ばすことだからだ。これはFRBには解決できない。ジェローム・パウエルFRB議長は29日、この2つの違いを強調した。連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の記者会見で、FRBはこれまで支援したことのないセクターにかなり積極的に支援を向けているとした上で、「しかしながら、これらは貸し出し能力だ。われわれは支払い能力のない企業に貸し出すことはできない。補助金は与えられない」と述べた。
流動性危機か支払い能力危機か、FRBには重要
中銀が返済を過度に懸念すれば、弱い企業が敬遠される可能性も
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