人のいない都内
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景気悪化で銀行の不良債権が増えると取り付け騒ぎが発生する可能性が出てくるが、日本ではその可能性は低いだろう。(塚崎公義)

 新型コロナウイルスの影響で、世界的に経済活動が深刻な打撃を受けている。それが金融危機に発展する可能性もリスクシナリオとして考えておくべきだと思い、数回のシリーズを組むことにした。

 第2回の今回は、銀行の取り付け騒ぎの可能性を考える。取り付け騒ぎは、預金者が銀行に預けているお金を一斉に引き出しに行く混乱のことを指す。銀行は長引くゼロ成長とゼロ金利で苦しんでおり、今次新型コロナ不況で不良債権が激増すると、預金者の不安心理が高まって取り付け騒ぎが起きる可能性も皆無ではないからである。メインシナリオではないので、過度の懸念は不要だが、頭の片隅には入れておいていただきたい。

 なお、考え得る金融危機の全体像については第1回「「コロナ金融危機」は本当に起こるのか?リスクシナリオを検証する」をご参照いただければ幸いである。

銀行の金庫にある現金は僅かである

 銀行の金庫は立派だが、中に入っている現金は人々の想像よりもはるかに少ない。預金者から預かった現金を金庫に入れておいては商売にならないので、一部だけを金庫に入れ、あとは貸し出しなどに使うからである。

 それで大丈夫なのは、「大数の法則」が使えるからだ。たとえば「100万人の預金者がいると、大体毎日1万人が預金を預けに来て、1万人が預金を引き出しに来る」といったことが経験と統計学によってあらかじめ分かっているので、「若干の誤差」に備えた分の現金だけ用意しておけばよいわけだ。